1065人が本棚に入れています
本棚に追加
/110ページ
陽一さんは突然、私が座る椅子の肘掛けに手を乗せた。
ギシィと鈍い音を立てて椅子が僅かに前に傾き、近くなった顔に胸がキュッとなった。
「みなみ、好きだ。俺と付き合って」
それはずっと聞きたかった言葉だ。
それをこんな距離で、こんな真剣な表情で言われたら、顔が火照って火照ってしょうがない。
ニヤッと片方の口角が上がっているあたり、陽一さんも気付いているのだろう。
なんだか圧倒的にいつも負かされてるような気がして、ちょっと反発心が芽生えてしまう。
「 本当に私のこと好きなんですか」
「好き」
うわぁ、最高。
クラァッとしそうになって慌てて気を保つ。
「でもなんか疑っちゃうんですよ。ほら、いろいろありましたから」
「みなみ...?」
「なので、私のこと本気ってとこ、私にわかるように見せてくださいよ」
「...ちょっとそれって...」
「明日から全力で」
最初のコメントを投稿しよう!