二度寝

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「起こしに来たんだけど、なかなか起きないから添い寝」 「なんで勝手に入ってるんですか?」 「鍵がかかってなかったからな。みなみ、無用心だって」 「入ってくるとは思わなかったんです」 「そんなこと言って、ちょっとは期待してたんじゃないの?」 「なんの期待ですか」 「俺に起こされて刺激的な朝を迎えるっていう。どう?」 「どうって何が」 「試してみる?」 「何を」 訊きながらどんどん顔を布団に中に隠していく。 だんだん恥ずかしくなってきた。 「何をってそりゃあ、ねぇ」 「......」 「みなみが俺の愛が本気だって認めてくれるなら教えてあげてもいいけど。どうする?そろそろ付き合う?」 ここで『うん付き合う』って私が言うと思ったか! 「まだ本気度が伝わってきません」 「...なんで布団の中に入っちゃってんの?」 「寒いんです」 ていうのはもちろん嘘。本当は暑いくらいだ。 陽一さんが添い寝してるってことのインパクトにだんだん気付かされて、顔が赤くなってきている。 「みなみ、二度寝するの?」 「しません」 「別にしてもいいけど。今日土曜日だし、みなみも仕事休みでしょ?」 「そうですけど、朝食を作らないといけませんし」 「え、なんて?布団の中で話すと聞こえづらい」 ああそうか、と顔を出したら、違和感を覚えた。 「...なんかさっきより寄ってません?」 「そおか?自分ではわかんないけど、みなみが好きすぎるから体が勝手に寄ってるのかもしれないな。...あれ、みなみ。顔が赤いんじゃない?寒いんじゃなかったの?」 「寒いです!」 また布団の中に顔を隠したら、喉を鳴らして笑ってくる。
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