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言ってた通りいつもより一時間くらいはやく帰ってきた陽一さんは、先に着替えをしてから台所に立った。
「何を作る予定なんですか?」
「ちらし寿司」
「いいですね」
「自分でスーパー行って材料も買ってきたんだから」
「すごいです」
「だろ」
30歳男性なので別に一人で買い物できたからって何もすごいことはないのだけど、褒めれば嬉しそうにしてくれるからついつい甘やかしてしまう。
「まずは手を洗いましょう」
「はいよ」
陽一さんが洗っている間に私は髪を結んだ。
「そうだよみなみ、それだよ」
「え?」
結びながら振り向くと、陽一さんがタオルで手を拭きながらニヤニヤしている。
「そうやって自然にうなじを見せてくれるのが堪んないんだよ」
「...見せてる訳じゃないですよ」
「見せるつもりでやってないのがいいんだよ」
「なるほど」
勉強になる。
「まあ、でも俺はみなみのうなじ好きだからさ、この前みたいに見せつけてくれても喜んじゃうけど」
「あの時ダメ出ししてたじゃないですか」
「 悪かったって。いろいろ言ったけど、みなみのうなじならどんな状況でも喜ぶから」
「意味がわからないですし近いです」
話ながら寄ってきてたので後退していたら、また冷蔵庫で壁ドンされていた。
これじゃあ壁ドンじゃなくて冷蔵庫ドンって言うのかな。
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