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「みなみ」
「なんですか。あの、近いです」
「もうそろそろいいだろ」
「何がですか。近いですって」
「俺が本気でみなみに惚れてるってわかるだろ?付き合おうよ」
何、この私の気持ち見透かしてるって顔。
まあ、その、見透かされてるも何も両想いなのは確認済みなのだから私の気持ちはバレバレなのだろうけど。
けどここで陽一さんの思い通りになるのはなんか悔しい。
「その本気さがまだ信じられないんです」
「本当に?」
「本当に、です」
「......そっか」
そう呟いて、陽一さんは私の肩に頭を倒した。
肩にかかる重みとうなじから頬にかけてくすぐってくる黒髪に、胸がドキドキと暴れる。
「歯痒いね」
「...え」
「みなみもこんな気持ちだった?」
私も歯痒くてもどかしい気持ちでいっぱいだったから、うんと頷く。
「そっか。...本当にごめん」
謝ってくれるのはいいけど、うなじに息を吹きかけるみたいに話すのはやめてほしい!
全身がゾワゾワして身が強張る。
「陽一さん、ちらし寿司、作りましょうよ」
「いや、まだ謝り足りてないから。みなみ悪いな、本当に」
この人絶対わざとやってる!
ボソボソボソボソ、わざと息をうなじに吹きかけてる!
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