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「ところでどんな企画案が出てるんですか?」
次回作のヒントが見たくて尋ねれば、私に紙を寄せてくれた。
お礼を言ってから覗こうとしたら、何故か急に紙を引き戻された。
呆然として顔を上げれば。
「ただの同居人には見せれないわ。重大事項が書いてあるし」
なんて意地悪な顔だ。
「じゃあいいです」
と言いつつ、本当は気になる。庭を見るふりしてチラチラ視線を運ばせるけど暗いし普通に字が見えない。
陽一さんを一瞥すればニヤニヤしてる。性格悪いなぁと思いつつも、月明かりに照らされる横顔に見惚れてしまう程、私は陽一さんが好きみたい。
目が合いそうになって慌てて夜空を見上げた。
雲一つない夜空には、立派な満月。
「今夜は月が綺麗だな」
ドキン、として横を振り向けば、顔がすぐそこにあった。
床に片手を付いて上半身を私へ傾けている陽一さん。
「みなみ、好きだよ」
脈が一気に速度を上げる。
「まだ本気が伝わってない?」
震えそうな手をぎゅうと結ぶ。
彼の目が私の唇を見るから、キスされると思って息を止めた。
ゆっくり近づいてくる。
もうすぐ、くる。
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