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「あ、これってあれですよね。私達、ただの同居人じゃないってことですよね」
「そうだな。付き合ってるしな」
「じゃあ、さっきの企画案、私も見てもいいんですよね」
すると肩に手を置いて体を離す陽一さん。どうしてか双眼を細めている。
「この流れで熱湯先生の次回作なの?」
「だって気になりますから」
「なんか嫉妬するわ」
「それとこれは違いますからね。見せてくれますか?」
いまだに目を細めて「うーん」と渋ってくるので「私誰にも言いませんよ」ともう一押しを試みた。
すると急に陽一さんは不適に笑う。これはなんか言ってくるぞ。
「じゃあ可愛くせがんでみてよ」
そらきた。
「可愛く、ですか」
「そ。できる?」
久しぶりに頭の中で恋愛バイブルを開く。そこに『笑顔美人になろう!』と、陽一さんのテクニックを掛け合わせた。
余裕の表情で私を待つ陽一さん。
うまくいくかはわからないけど、やってみよう。
陽一さんにピタリとくっつき両手を背中に回す。ゆっくり顔を上げ潤ませた瞳で上目使い。うまくいってますように。
「企画案、見たいなぁ」
言いながら背中を指でぐるぐるなぞる。
…うまくいったかな?
瞠目したまま動かないからなんだか恥ずかしくなってきて顔を伏せた。
「みなみ...なんで上達してんだよ」
「え」と上を向いたら頭の後ろに手を回されキスされた。
触れる程度かと思ったら、そのうち激情の接吻みたいなキスになり、立つのもやっと状態の中、これは私の愛の技量レベルが上がってるんだと内心喜んでいたのだった。
結局、企画案を見せてくれたのは翌朝だった。
何はともあれ、私達、晴れて恋人同士になりました。
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惚レタ弱ミ【完】
最後までお付き合い下さり、応援してくださった読者の皆様、ありがとうございました🖤
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