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盛大なため息を吐き出し両手に顔を埋めた。
「陽一さんのこともちょっと気の毒に思いますけど、でもみなみの方が辛いんですからね」
「わかってるよ、志穂ちゃん...」
「みなみ、私に相談してたんですから。陽一さんが全然靡かないのは私の愛の技量が足りないんだって」
「愛の技量ってなにwwwwww」と肩を震わす充を肘で小突きつつ、志穂ちゃんは言葉を続ける。
「私、みなみに遊ばれてるんじゃないのって言ったんです。なのに、そんなことする人じゃないって」
「みなみが...」
「陽一さん、何がなんでも謝ってくださいよ。じゃないと私あの家の畳むしりに行きますから!」
眉間にシワを寄せる志穂ちゃんに狼狽するが、「わかってるよ」と返事をした。
俺だってみなみに謝りたいんだから。
「問題はどう謝るかっすよねー。会えないとなると...」
「ご飯が用意してあるってことは、陽一さんが家にいない間に作りに来てるってことですよね」
「じゃあそこを見計らって謝ればいいじゃないですか」
「けど仕事が」
「有給とればいいじゃないですか」
「その手があったか!!」
冷静になればすぐに思い付いただろうに、そんなことすら考えられない程俺は余裕がなくなってるんだろう。
「それか置き手紙を残すとか」
「その手もあったか!!」
「...陽一さんこの五日間何考えてたんですか...?」
「...今日は帰ってくるだろうってただただ待ってたんだよ」
とりあえず、充と志穂ちゃんに相談して良かった。
「二人ともありがとな。そろそろ帰るよ」
「あ、クッキー大量に余ってるんですけど、持って帰ってもいいですよ」
「いらない」
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