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陽一さんが肘掛けから手を離したせいで、身体がユラァと後ろへ傾き、その後ユラユラ前後に小さく揺れる。
束の間苦渋を浮かべていた陽一さんだったけど、急に不敵に笑ったかと思えば「わかったよ。全力で、俺がみなみをどれだけ好きで好きで堪らないかってとこ、見せてやるよ」と余裕の口振りで宣言された。
その眼差しにエロスを覚え唾を飲み込めば、また肘掛けに手を乗せてきた。
勢いがありすぎて体が前に倒れ、思わず陽一さんの肩に掴まる。
「あ、すみま」
突然抱き締められたので言い終わることができなかった。
「覚悟しといた方がいいよ」
鼓膜を溶かす勢いの甘い声に、早速白旗を揚げるところだった。
翌日から陽一さんのラブアピールが始まった。
どこでそんな技を学んだのか、普通の書店では探しても見つからないレア本でも読んだようなテクニックで総攻撃され、腰を抜かす度に耳元で「どう?わかってくれた?そろそろ付き合う?」と囁いてくる。
わかるわからないもまともな思考すらできない中、そう簡単に付き合うなんて言ってたまるか!なんてど根性が湧いて「まだまだですね」と去るのが常なのだけど、腰に力が入らずよろけながら去るのだから、もう完全に負傷兵状態だ。
本当は今すぐ付き合って恋人同士になってもいいのだけど、むしろそうしたいのだけど、私も遊ばれていたのだ。
少しくらいは仕返ししてやりたい。
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