動揺が隠しきれない

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動揺が隠しきれない

練習を終えて シャワーを浴びて 俺はいつものジャージではなく 私服に着替えて奏に会いに行った 靴は良いのがなかったから 幸助にかりた 出かけようとしたとき 幸助が声をかけてきた 「あのさ・・・愁 もしだけど もしも 奏ちゃんと上手く行かなかったら・・・俺の話し聞いて」幸助 こいつ 何言ってんの? 「何だよ!話って? っていうか 上手く行かなかったらって 意味わかんねーし 応援しろよ!!」愁 幸助は少し笑って 「応援してるよ 靴かしたんだから 応援してないわけないだろ?」幸助 幸助はいつもよりも しんみりしているように見えた 変な奴 公園に着いたのは 約束の10分前 だけど 奏は既についていた 「久しぶり!!待った?」愁 明るく声をかけたのだが 奏は少しほほ笑むだけで 心からの笑顔ではないことが俺にも分かった 「ここで話す? どっかで飯でも食いながら話す?」愁 奏は 指で地面を指さし 「ここで話がしたい」奏 小さな声で言った 俺は頷いて 奏の座るベンチの横に座った 「話って・・・何?」奏 そうだった 普通にデート気分になってたけど 今日の本題はそれだった 俺は奏に話を切り出す 「実は 今日、話がしたいって言ったのは この前ね 俺、奏に電話したんだ・・・」愁 すると 奏は頷く 「要くんから聞いて・・・知ってる」奏 知ってるんだ・・・ じゃ 何で何も言わなかったんだろう? 「・・・」愁 俺はそれ以上の言葉を失って 黙り込む 知らないと思っていた 要くんが 伝えていないものだと思っていた そうじゃなきゃ 要くんを悪者にしなきゃ 俺の中で消化できなかった 「どう思った?」奏 えっ? どういう意味? 「どう思うって?」愁 奏では表情を変えないでこちらを見つめて言う 「私、寝てたの 友達の部屋で 男の子の部屋 もちろん 下にはお母さんや彼の兄弟がいたけど 部屋は二人きりだったし 何より ・・・・・・私の事を好きでいてくれる男の子の部屋で寝てたの」奏 奏・・・要くんの気持ち知ってるんだ 気が付かないで一緒にいるのかと思ってた それに なんか・・・今日の奏は意味深で 俺はドキドキが止まらない 「電話してくれたんでしょ? 彼は素直に言ったでしょ? その時、愁くんはどう思ったの?」奏 攻撃的ともいえる視線 奏がいつもよりきつく見える 「嫌だったよ」愁 「どうして? どうして嫌だったの?」奏 「それは・・・それは・・・」愁 言葉が出ない 卑猥な妄想が止まらなかったからだなんて 言えなかった すると 奏は俺にぐっと寄ってきて 「キスしたと思った?それとも・・・それ以上?」奏 そう言うと 奏の頬に涙が・・・ 俺はそれがきれいすぎて見とれる 「どうなの?私たちがいやらしい事したって思ったでしょ?」奏 奏はポロポロ涙をこぼす 「奏らしくないよ・・・そんな言い方」愁 俺は目を逸らして 呟くように言った 奏では下を向いて 苦しそうにそれ以上泣くのをこらえていた 俺は慰めることもできないで ただ 今までにない奏の様子に動揺していた
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