唯香もビール

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唯香もビール

幸助は俺の話しを 無表情に しかし 真剣に聞いていた 「そっか 奏ちゃんと会ったんだな 彼女も色々とあったんだよな 俺もテレビとかの情報だけだけど アナウンサーとしては美人女子アナみたいにもてはやされて 仕事色々しているけど ワイドショーではけっこう騒がれてて 本当かウソかは分からないけど 入社してすぐに 不倫みたいな報道とかあってさ 乗り越えてきた子だから 強くなったんだろうね・・・ ま、今の話聞いてたら 外身に似合わない内面の強さは まわりが見ようとしていなかっただけで 昔から持ってたんだろうけどね 元気で良かったよ ・・・どんなんでもさ 知ってるからには 知っている子には幸せになってほしいもんな」幸助 幸助はしんみりしたテンションで言う 「ああ・・・なぞは今頃、全て解けたかんじかな 俺が勝手に奏に対して抱いていたイメージが 本当の奏とはかけ離れていたことが 今頃ようやく分かって 残念でもあり スッキリしたようでもある」愁 明るいテンションで話す気持ちではなく 声は小さめになる 「っで、奏ちゃんも唯香の事を気が付いてたって?」幸助 「ああ 俺と唯香はあの後 付き合ってるって思ってたって そのことが聞きたくて 今日、誘ったみたいで」愁 「そっか・・・それでさっき 微妙な顔で・・・へ~」幸助 「ああ」愁 「どう思った?」幸助 「どうって?」愁 「唯香が好きだったって聞いて」幸助 「・・・そんな事 思いもしなかったから ビックリした ま、昔の事だしね 今更聞いたってね」愁 「だけ? 本当にそんだけ?」幸助 幸助は疑ったような目で見る 「お前・・・ そんな目で見るなよ 分かったよ 言うよ・・・ 気になっているよ・・・今更」愁 幸助はにこりと笑って 「今更でもいいんじゃねーの? もし会って 感じるものがあったら それに素直になればいいんじゃねーの だって あいつだって 今はどう思ってるか分からない もしかしたら 彼氏いるかもだし いないかもだし お前の事だって まだ、好きかもしれないし ・・・な」幸助 幸助はやたら大人に見える時がある 「でも・・・」愁 「もし、唯香に今彼氏がいたとしても 別に結婚してるわけじゃねーんだから・・・頑張れ」幸助 ・・・幸助・・・そんな悲しそうな顔するなよ 「そっか・・・」愁 俺は幸助から目を逸らす すると 幸助はいつもの様にふざけた表情になり 「心配すんな・・・奥手な俺は指二本くらいしか唯香に触れていない」幸助 そう言ってヘラヘラした 「指二本って何だよ!!」愁 そう言うと 「指二本の詳細は秘密だよ 俺と唯香の・・・それくらい俺のもんでいいだろ?」幸助 話し終えるころ 丁度いいタイミングで唯香が入ってきた 唯香は座るなり 「ビールください」唯香 声大きい やっぱり変わらないな・・・ だけど 意識しているからか? ジャケットの下に ピタリとくっつくようなカットソーに女らしさも感じてしまう 俺、どこ見てるんだろう・・・ 幸助は変わらず 楽しく 賑やかしてくれた 三人で 昔話や 近況なんかを話した さっきまで 唯香のことで俺たちがわりと真剣に話していたことは 全くなかったように 幸助は いつもと同じ 楽しい雰囲気を作ってくれる 俺だけが 唯香の方を見ることができない 意識しすぎていた
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