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彼女の一面
俺たちは普通の恋人と比べたら
本当に
本当にゆっくりだけど
お互いのことをしりあっていった
キャラクターだけでなく
育った環境
住んでいる地域
学校
友人
全てが違いすぎて
たまに奏がリアルに思えない時があったりして
不安になったりもする
俺たちがこうして出会えたのって
もしかしたら奇跡だったのかもしれない
立花先輩からの誘いで街へ買い物に行った
そこで
先輩の中学の後輩の女の子二人と偶然に出会った
女の子が大好きな先輩は
その子たちが馴れ馴れしく絡んでくることをうれしく思ったのか
一緒に飯を食いに行こうという
彼女たちは奏と同じ高校
同じ学年
だから
俺はとても興味があって
今回は特別に
先輩に乗っかって
みんなで昼食を取るという提案をのむことにした
近くのファミレスに入る
「立花先輩
愁くんめっちゃ格好いいですね」女の子①
「モテるでしょ?」女の子②
「こいつはダメダメ彼女いるし
こんな風で一途だから」立花
「え~!!彼女いるの?」女の子①
俺はこういったテンションの女の子が苦手だ
整った顔なのだろうし
きっと似たような男達から人気もあるだろう・・・
甘すぎる香水の匂いは
今、食っているものの味も分からなくなる
媚びるような口調
異常に甘えているような声
ゾッとする
さっきからわざとなのかは分からないけど
胸元を強調した動きをしたり
ジーっと無意味に見つめてきたりする
立花先輩はそれにまんまと引っかかって
いや、自ら引っかかりに行って
この場を楽しんでいるようにも見えた
俺は嫌悪感で一杯だったけど
「俺さ
君たちと同じ学校の
笹山 奏(ササヤマ カナデ)ってこと付き合ってるんだけど
彼女の事知ってる?」愁
すると
二人は顔を見合わせて不思議そうな顔をする
「知ってるけど・・・彼氏なの?」女の子①
俺はうなずく
「笹山さんって特進科のでしょ?」女の子②
「たぶん」愁
「お前らの学校の特進科ってこの辺でも凄いとこじゃん
愁の彼女ってそんなに賢いの?」立花先輩
「・・・ですかね?」愁
俺は知らない
知らなかった
「笹山さんって
同じクラスの要(ヨウ)くんと付き合ってるんじゃないの?」女の子②
「だよね・・・」女の子①
女の子たちは言い辛そうに俺の顔を見ていった
「えっ?じゃ違うんじゃねーの
名前が同じだけとか?」立花先輩
「笹山 奏ってそうそう同じ名前ないし
うちの学校そんなに多くないから間違えないと思うけど」女の子①
どういう事なのか分からなかった
彼女たちに聞くには
奏と要くんという人は学校中みんな知ってる恋人関係で
放課後残って勉強していたり
一緒に帰ったり
いつも一緒に行動しているらしい
誰が聞いたわけでもないけれど
見るからに仲睦まじい
なんの疑いもない
そんな二人で
要くんというのは
特進科にいて
学力はトップレベルで真面目
男友達も多くて
女子にも優しくて
笑顔がヤバくて
ピアノ・ギター・バイオリンができて
小さなころからスポーツも万能
中学校の時には
剣道部主将でけっこういい所まで行ったことがあって
まるで少女漫画のキャラクターのような完璧な人で・・・
俺はショックで
その後
どうしていたか・・・分からないけど
先輩は
「よくあることじゃねーの?
学校とそれ以外と彼氏が別々にいてって
世にいう二股?
その方が楽しいじゃん
なかなか会えないやつに一途でいるのって
女子的には苦しいんじゃないの?
お前ってサッカーバカだからデートとかしてないんだろ?
ま、どっちが本命かは知らんけども
相手のほうが一緒に居る時間は勝ちだな
俺としては
うちのサッカー部の次期キャプテンでイケメン担当のお前が
二股かけられるなんて
許せねーけどな
あー腹立つな」立花先輩
「奏は・・・そんなに器用な子じゃないですよ
何かの間違えだと思ってます」愁
あまりに落ち込む俺を気遣ったのか?
先輩はその日
やたらと優しかった
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