きっと あなた 親密 でも …

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佐藤は、子供の頃 … 母親が近くに居たのに、 一緒に暮らして いても、 その母の愛情を得られない、 満たされない、複雑な家庭で育った。 だから … 愛情に飢えている、 のか、それとも … そんな愛情は必要としない、のか … ―             そんな佐藤は、             大人になって、 社会人になってからは、 やっと、 独りぼっちではなくて、           会社の同期入社 …          その仲間ができて … そこに … いた … 茉由を …           なぜ、           女としてではなく、 母親としての、茉由を、護ろうと              するのか … ― 茉由が、いつも、心を痛めるのは、 茉由のせいで、大変な思いをさせ ている、子供たちの、事、 そして、茉由が、自分で望まなく ても、抱えているものは、病気と、 理解できない事が多い、夫だった。 人には、それぞれ、 背負っているものが、あったり、 抱えているものが、あったり、 心に閉じ込めている、ものがある。        それは、佐藤にも、        佐藤が幼稚園の頃 … ― 「 おかあさん、ボク、   このジュース       のむよ! 」      おかあさんの ために…             ... 🚌 幼稚園のお支度 は、お母さん も大変。幼稚園バスの集合時間は、 「 8:20 」  でも、朝ご飯の支度、洗濯、掃除、 食事の後片付け、子供の着替え、 お道具の確認、お弁当 … これでは お母さんの手が足りない。 佐藤の「 おかあさん 」は、 大家族の中で、朝から忙しい。 一緒に暮らしている、九州男の 「 おじいちゃん 」は、長男の嫁に は厳しく、家の中の事を細かく、             意見する。 「ボクにやさしい おばあちゃん は、 はたらきもの。おかあさんがいそが しくジタバタすると、あとをおいな がら、おかあさんがチャンとできな かったことを、チャントしてアゲル」 …でも、おかあさんは、     それはイヤ … だから … 「 おばあちゃんが しんせつで   てをだしたことを、また、         ヤリナオス 」 だから、 おかあさんは、 いそがしいアサは、もっと、 よけいに、  イソガシイ。 佐藤と、一緒に住んで居る、 「 おじさん と おばさん 」は、 ホテルにでも泊まっているカンジ。 まるで、お客様のように、 キレイに畳まれた、フェイスタオル、 消毒済みのコップ。1本、1本が、 それぞれの場所で、距離を 保ち、置かれている、歯ブラシ、 そんな、チャンと、セッティング された洗面室で身だしなみを整え、 佐藤が席を譲ると、ゆっくりと 朝食を召し上がっている。 父親は、自分の事、だけをやって、 もう、とっくに、仕事に出て、 「 こんな場 」を、見る事はない。 時計は、 「 8:10 」 佐藤が幼稚園バスの乗る処では、 友達は全員、もう、揃っている。 「 佐藤さん、またぁ!」 一番遅く、 登場した佐藤親子を、友達のお母 さんは、呆れた顔で迎える。 佐藤は、ここに、一番に、来れた ことが無い。バスに乗り遅れる          こともある。 でも、 せっかくバスに乗っても、佐藤は、   数分で、バスから降ろされる。 佐藤は、バスに酔ってしまう。 「 乗り物酔い 」の   常習犯。 幼稚園バスは、 道を真っ直ぐ進むから、 数分ほどで、降ろされた 佐藤は、 遠くから見ていた母親に拾われ、 幼稚園バスは、佐藤が、母親と 合流するのを見届けると、 母、子、を残して、再出発する。 佐藤は、暫く、そこにしゃがんで いても、たった、10分程で、立ち 上がり、バスが進む道をゆっくり と、 ただ真っ直ぐに、歩いて … 「 ボクはネ、あかあさんと  いっしょにようちえんにいくヨ 」 幼稚園までは、家から普通に歩く と、子供の足では、「 30分 」程か かる。 具合が悪い佐藤は「 ゆっくり 」と 歩くので、40分程かかる。 … 幼稚園に到着するのも、       それだけ遅くなる … 佐藤の母親が自宅に戻れる時間は、 たぶん「 1時間30分 」程後になる。 「 ただいま戻りました … 」 そのまま、寄り道もせずに、速足で 「 真っ直ぐに家に戻った 」母親は、 休むことなく、急いで掃除を始める。 おばあちゃんが「 しちゃう 」前に、 チャンと …           それに … 佐藤は、本当は、 「 乗り物酔い 」は、しない。 『 でも、そうしなきゃ!  おかあさんが、スグに、かえら  なくちゃいけなくなる … からネ 』 「 おかあさんの『 おやすみじかん 』  がなくなっちゃうから、  だって、そうでしょ?  おかあさんがかわいそうだから!」 だから、5才の佐藤は、バスに乗って、 友達と楽しく幼稚園に行きたくても、 バスの揺れに酔って、降りてあげる。 でも … 佐藤のもとに駆けつけたおかあさん は …      佐藤を心配しない。 5才の佐藤にも、分かっていた。 このジュースをたくさん飲んだら、 自分はバスの揺れに酔ってしまうのも、         でも、飲まないと… 佐藤の幼少期は、複雑だった。 父親の両親と父の兄弟姉妹と、 佐藤と、母親の生活は、 母親が24時間?家の中でも、 気、を、 つかいっぱなし、の、毎日で、 疲弊し、精神的にも肉体的に も、      病んでいた。 佐藤は、 自分でも、不思議だった。 乗り物酔いをしても、勢いよく、 ジュースをお腹の中から 「 カポッ 」と、 吐き出すと、 すぐに、元気になった! お腹も痛くないし、     「 ゼンゼンヘイキ!」 だから、その後に、いっぱい歩い てだって、チャンと毎日、幼稚園 に通えた。ゼンゼン苦しくもない。 「 おかあさんと    いっしょに いく!」 佐藤は、 何ともないから、お昼のお弁当も    チャンと全部、食べられる。 でも、いつも登園時間は、皆より も、        遅くなった。 佐藤と母親は、 やっと、 幼稚園に着くと、 出迎えた先生たちに、 キチンと頭を下げる。 幼稚園の先生は、 「 大変ですね 」と、      母親を労う。 佐藤の母親は、控え目に    『 笑顔 』になった。 🏫... 佐藤は、午前中、具合が悪いふり を続けて、皆とは遊ばずに、椅子 に腰かけたまま。 本当は、元気だから遊べるのに。 「 でもさ!  おかあさんもいまだって、  おうちのなかで  『 ガマンしてるからネ 』      ボクといっしょだヨ 」 佐藤が、自我に目覚めるのは早か った。自分の「 家庭内での役割 」 が分かったのは、5歳の時、この、 幼稚園時代だった。 それは、家庭内の複雑な問題に直 面し、それで、佐藤と、母の絆を、 佐藤は、    強くするのだが、 でも、 佐藤の母親は違っていた … 佐藤が、小学4年生になった頃、 祖母と祖父は続いて亡くなった。 佐藤の家では、父の兄弟姉妹も、 皆、独立し、両親と、佐藤の、     親子 3人だけになった。 ようやく、母親は自由になった。 けれども、 やっと「 自由を手に入れた 」 その母親は、佐藤には、       向かわなくなった。 母親は、家事をほとんどしない。 佐藤が小学校から帰ると、すぐに 佐藤を連れて外へ行く。 それは、高級なレストラン、お寿司屋 さん、中華料理店など、 その日毎に違う店に佐藤を連れて行き、 佐藤をそこにおいて、 佐藤には 「 独り 」食事を、       させる。 母親は「 独り 」で、どこかに行き、 佐藤が食事を終える頃に、         店に戻ってくる。 そして、ビール、日本酒、中国酒、 を、それぞれの店で、  飲んだ。 店の中で、佐藤の 「 目の前に居る母 」は、  酒だけを、飲んでいた。 これは、佐藤が中学生になるまで             続いた。 佐藤が中学生になると、部活動が 始まり、佐藤の帰宅時間は、少し 遅くなる。 すると、テーブルの上には、デリ バリーされた料理が「 一人分」、 だけ、      置かれていた。 夕食は、いつもこんなカンジ、 これを、       また …       「 独り 」で食べる。 母親は居ない。 外で仕事をしていないはずなのに、 誰にも邪魔されずに、 家の中に居られるのに、        いつも居なかった。 父親も、 佐藤が起きている時間には、 家に居ない。佐藤は、家の中では いつも「 独り 」    だった。 大学の入学式の日、家に戻ると、       母親は居なかった。 「 何日過ぎても、居ない。  母のものは残されているのに、  母だけが居なくなってた な…」 佐藤はそれでも、善いと、思った。      「 お母さんが … 」 そうしたいのならそれで良かった。 だから、父親には何も尋ねなかった。 「 父は、大学の修士課程まで      進ませてくれたから …」 父親も、いつも、不在。      それが、佐藤の家だった。 佐藤の、かすかな、母の面影は、 「 辛そうな顔 」「酒に酔った顔 」 「 何も喋らない、無表情の顔 」          の、母だった。 ― 佐藤は、そんな母親と、 茉由を重ねてみていた。 でも …          いま、          佐藤の傍にいるのは、          茉由ではなく、マリン。  🌼… マリンは、 田中真凛、不動産会社に勤める、入社5年目 の主任。いまは、上司の高井GMに頼まれた 仕事をする為にグループの管理会社に出向中。 マリンは、 仕事はきちんとこなす、聡明、誠実、っと、 どこまでも、 クリーンな、カンジの、 キリっとしたとこ、と、 女性らしい柔らかさ、 優しさも持ち合わせる       美しい人。 そんなマリンが、いま、夢中なのは、 同じく管理会社へ出向中の佐藤翔太。 マリンの上司の佐藤は、仕事がデキる男、          だが、それだけではなく、 学生時代に水球で鍛えた、躰、チームの中で 培われた、リーダーとしての統率力、広い視 野での眼力、事、に、対しての早い決断力は、 男として、も、強さ、  魅力となっている。 だから、マリンは満足だった。 佐藤と、の、一回りの年齢差も、同年齢の 者には幼さを感じていたマリンにとっては、 それも、            良い事。 そして … この不動産会社の営業担当は 「 美しい者 」が、 採用基準の1つになっているので、 2人は、 周りの者とは違い過ぎるほど、      美しい容姿を持つ。 2人並んで、街中を歩いても、 どんなシチュエーションでも、 様になり、    目を引く。 そんな2人が、いま、いる処は … この時期、暗くなるのも早く、明るい都会で も、ちゃんと、冷たい空気の暗い空をバック に美しいイルミネーションもあちらこちらで 観られる街中、の、上、タワーの展望 floor、 ここの天望デッキは、外を見渡せるだけでは なく、周囲は斜めにガラスがはめ込まれてい るので、その高さを実感できるように真下も 覗けるし、 斜めだから、写真をとっても、反射しないで 綺麗に写すことができる。 そこでの2人は、 Intimate distance、で、「 ウブ 」な マリンには、この距離は憧れでもあった。 美しいマリンは、いままでも、 ただ、街中を歩くだけ、で、も、 すぐに、 異性から声をかけられるほど、で、         いままでずっと、 その、 異性の好奇な視線を、 つねに感じてきた。 だから、 反対に、チヤホヤされる、と、嫌悪感、が… で、そんな煩わしい異性を近くには置きたく                 なかった。 このカンジ … 意外にも「 美しい者 」は、その、異性との お付き合い、その、経験は、少ない者が多い。 マリンも、実は、こんなに美しくても、 いままで、男性経験が「 全く 」なかった。 マリンは、その事を隠している。 だから、こんな、分かりやすく、 カップルだらけの場所に居ても、 じつは、そのカップルたちのようには、 スマート?に動く自信がないので、逆に、 その、同じ場所に居て、くれる、 近くのカップルたちを参考にしようと、 👀 が、大きくなっている。だから … 「 おい、おまえ …  あんまり、人の眼を     気にするなよ …  こんなところで …     皆、同じだろ … 」 それを佐藤は判らないから、ただ、マリン が、他人の目を気にして、見ているように 思ったらしい、 「 どうせ … この後は …   ドイツモ …   同じコトをするんだろ … 」    「 いえ … そんなつもりは …      あちらの景色が … 外が、       気に、なってたんです…」        マリンはごまかした。 「 そうか、あっちは、     品川の方か …」       … 違うんだけど 💦 … マリンは、恥ずかしがりながら、 佐藤の後に続いて場所をかえた。 男性経験が全くなかったマリンは、              もう、 佐藤と、カラダ関係があっても、 ピュアなまま、 こんなに、まっすぐに、 佐藤の事を思っているのに … 佐藤は、 こんなウブなマリンを どうするのだろう …           佐藤は、 いまも、 仕事が終わると茉由の家、に、 通い続けているのに … °˖✧             🌠 🌠  ☆°˖✧    ✧˖°★  °˖✧   ✧˖°★           ☆✧˖° °˖✧     ★       ✧˖°     『 ぅわ~ キレイ … 』           『 あぁ… 』 °˖✧  🌠   ★ ✧˖°           ☆           ✧˖°   ★      °˖✧      ★ こんな日に、🌠が、2人の前に …          「 あっ …」 「おっ、これって…     らしい、ナ … 」 ☆... 佐藤は、 そんな絶景に向かっているが …          マリンは、          佐藤の横に並んで、 頭や、肩、腕、腰、脚、が、 簡単に触れ合うことができる距離、 この、  距離に、ドキドキする。              …♡°˖✧˖° いま、2人が居る、 ス◎イツリーは、 クリスマスに見立てた 「シャンパンカラー」 🍸… マリンは、佐藤の近くに居るだけで、 シャンパンに酔ったように全身が熱く                なる。 思いを寄せている佐藤に、 そのたくましい腕で、抱きしめられる、 抱きしめてもらえる、その、距離に、      マリンは立っているから …          … 課長に. ♡…    『 ドキドキドキ … ♡ 』 いまマリンは、開放的な処に居ても、          恥じらいながら、 この2人に、 ごく親しい者に許される、密な空間、 を、         創っている。  … だって ♡ …   … クリスマス、だ・か・ら ♡ … ガラスに映る、佐藤のタクマシイ姿に、 ウットリとするマリンは、 外の ✨キラキラと眩い星のような都会         の建物の灯した明かり、 そんな空の上に居るのに、     その、     見事な夜景は目に入ってはいない。             ... ♡ 課長 ... マリンは、自分から、佐藤の右腕に、 左の胸を寄せ、その、 タクマシイ、にの腕に縋りつく … 佐藤は、そのまま、真っすぐに立って、 摺り寄せられた、マリンの熱い胸の、 鼓動と、温かさを、   享けとめた。 「 …フッ」 佐藤は、それでも … シッカリと、マリンを …        オサエる。 「 …なぁ … おまえ … 」          「 … はい?」 「 俺が … GM の …   すぐ下に居た事 …   知っているのか ?」         「 はい ?           いた …コト?           じゃ … あ … 」 「 … あぁ、俺は ...   あの GM … に … 」             「 …? 」 察しが良いマリンは心配そうに、佐藤の右腕 に縋ったまま、その、難しそうな佐藤の横顔 を覗き込む。 「 … 外された …」             「 え … 」 マリンは、それでも、佐藤から離れることな く、そのまま、それ、以上に、強く、佐藤の 腕を自分に引き寄せた、    なのに … 「 それでも … おまえは …  … おまえ、は …    GM の、ために、       きたんだろ ... 」              「 … … 」 マリンは、唇をかみしめて、難しそうな顔を した。でも、佐藤からは離れない。      「 私は … 営業本部のために、        きたんです … ですから …         GM を、特別、には …」 マリンは、自分の立場を、どこまで分かって いるのか … でも …       いまは … 精一杯、 佐藤に寄り添う気持ちを、きちんと、            伝えたいようだった。 「 フッ … そうか … でも   俺に … 抱かれれば …   おまえ … 高井 GM に …   逆らう事に、       なるんじゃね …」 佐藤は、ワザワザ「 高井 」の名を出し、 そして、ワザワザ、 冷たく、突き放すように、前を向いたまま、 遠く、外を眺めたまま、マリンに、ハナス、              「 … … 」               マリンは、         佐藤の腕に縋ったまま… なぜ、 こんな時に、こんな場所で、佐藤は こんな話を、  マリンにするのか … 佐藤は、         …🦅 「 速い 」 でも、いまは、 ちゃんと、 佐藤も、暫く黙る。 そして … マリンの様子を探る。      「 私は …        課長が好きですから …」       マリンは真っすぐなまま …                              …✧♡ 「… …」 それでも、無表情、で、  佐藤は、まだ、待つ。      「 待たれている 」         マリンは辛そうだった。            「 ... あ 」   「 … の、私が …    GM に云われた、ことは、    営業本部、の、ために、    営業、の、ために、    これから、の、    新築マンション販売、にも、    影響、の、ある、    に、かかわる、から、    管理会社の仕事、が、    適切に行われている、か、    どうか、を、視る様に、と、    云われ、た、だけ、なの、で …    佐藤課長! の、こと、を、        どう、こう、と、は …」 マリンは、懸命に話しているのに、 「 … … 」 佐藤は、少し、表情を険しくし … ただ、 前を向いたまま、動かずに、 マリンが、つく、右の耳にだけ集中する。       「 私は! 課長のことを、         GM には、なにも … 」 「 おまえがそうでも …   GM から、指示されたら、   おまえは、俺の事を … 」 佐藤は、ここで、急に、勢いをつけて、 具体的に、念を押すように、 マリンに言葉を圧しつける。       「 そんな!こと、              嫌 !」            マリンはますます辛そうな表情で俯き、 その顔を隠すように、額を佐藤の背中に 押し付け、        隠れた後ろから、佐藤の、        スーツジャケットの袖を、          自分の方へ引っ張る。            … ギュ-- ッ …  「 ん?」 佐藤は、それでも、マリンに、チャンと 謂わせる様に、訊き返す。        「イ ヤ です から …         私、たとえ、GM に、         何か命令されても、         課長のこと!GM に         云われるままに …              なんて…」             『 ぐっ … 』 マリンは、呼吸も苦しそうに、つまりながら 途切れ途切れ、に、自分に? 言い聞かせる ように …        「 … 課長が、         お困りになる こと、          しません … 私は …」 一言一言、言葉を考えて、辛そうに、 苦しそうに、喉を、伸ばして、呟く。       佐藤の背中に隠れたまま … 「 … そうか、おまえ、   俺を、護る … のか … 」 佐藤は、それでも、強く、 まだ、確認するように、 マリンに、 服従させる?ように、 繰りかえし、て、謂わせる。       「 … はい、私が、         課長をお護りします …」 「 フ …」 佐藤は、 自分の右腕に縋りついていたマリンの腕を 解いて、自分の、太く、たくましい腕で、 俯き、堅くなったマリンのカラダを、強く、 抱きしめる。            「 えっ? あ…」          マリンはその強い力に、         一瞬、また苦しそうに… でも、マリンは、そのまま … それでも … マリンを強く抱きしめる、その、 佐藤の表情は、それとは似合わない、ほど、 冷たいまま … ここは、カップルたちが、 それぞれに幸せな気持ちで この時を楽しんでいるのに、 この2人には、シッカリと、いま、 力関係、が、デキアガッテしまった。 佐藤が望んだとおりに … そして、         佐藤は、 マリンが望んだとおりに、 マリンを強く抱きしめ、 マリンを包むように、放さずに …            「 キャッ!」 佐藤は黙ったまま、 マリンをあっさり、     抱え上げ、                       「 え💦ぇぇぇえ~!」 マリンが恥ずかしがっても、         お姫様抱っこをしたまま、 🎄!…✧♡ °˖✧              🍬…°˖✧ 佐藤は、 マリンの額が、自分の首筋のあたるように、 ゆっくりと、ちょうど良い角度で顎をあげ た。でも、表情は変わらない。険しくもな く、穏やかそうでもなく、無表情で、 どんな気分なのかも分かりづらい。 いま、 額が佐藤の首筋にあたっているのだから、 マリンの顔は、佐藤の顎の下に隠れている。 だから、マリンの貌は、他の人からは 見えなくなる。     マリンは、佐藤だけのモノになる。 佐藤は、 周囲の目を全く気にすることもなく、 結構な長い時間、の、エレベータの中 でも、外に出ても … ずっと、 マリンを、   抱きあげたまま、で、車まで戻る。 …°˖✧ 今日は、 ここには、 人が多く居ても …            °˖✧ この2人は、長身で手足が長く、 スタイリッシュで、容姿が美しく … だから、実は、こんな事が、とても、 「 様になってしまう 」ので、 べつに … ここに居るよそ様に気兼ねし、 2人だけの世界を作らなくても、 なんだか、          嫌味もなく、 そのまま「 絵になってしまう 」 佐藤は、 もうなにもマリンに話しかけない。 黙ったまま、車のエンジンをかけ、 ここから離れた。 °˖✧        『 ヴオォ----ン!』      『 ... ッキッキッ!』             °˖✧ 🅿… 🚙!-- 車から降りると、 また、無言のまま     スバヤク …              『 パタン!』            「 えっ?」 °˖✧ マリンが、キョトンと、   °˖✧ 助手席に腰かけた、まま、まだ、 動かないうちに、そっちのドアを開け、 『 カチャ …』 マリンを、そのまま 降ろすこともなく、無表情の顔を近づけ、 °˖✧          … うわっ!….         『 ドキッ。✧♡…』             「 キャ!」 『 パタン!』 サッサと、また、軽々と、抱え上げ、 颯爽と、お姫様抱っこをしたまま、 進み、 チェックインをして …             °˖✧🍬…     「 あ … ッ? どうして?      もう … え 💦 … っと      おろして … ください …         … あの … 課長?」 マリンは長い肢をジタバタしてみるが、            … あぁぁ💦… 佐藤は、ゼンゼン構わずに、 マリンが、 恥ずかしがるのを楽しむように? 人前でも、けっして、マリンを放さない。 🍬…°˖✧        「 えっと!課長?            これって ? 」 「 … … 」            … え…?… そのまま、無表情で … また、エレベータに乗り込み、 で、上がり、 『 チン!』 さらにそのまま、 マリンを抱えたまま進み、 °˖✧ 『 パタン!』       『 ドスン!』 °˖✧ ベッドへ落とすと …           「 キャ!」           … あ …っ!… このまま、 マリンと、 一夜を、共に、する。    °˖✧♡          今日、2人は、帰らない。                佐藤は、なぜ、こんなに、マリンに冷淡な          態度をとるのだろうか、 それほど、高井の近くに居たマリンを警戒 しているのだろうか、    それほど、自分にとって大事な、    前GMを堕とした、佐藤を堕とした、      高井が、赦せないのだろうか… それとも、 茉由の事を振り回す高井を    許せないのだろうか …          マリンは賢いのに … このまま … そんな佐藤だと、気づかないまま …   こんな、に、冷たくされても … °˖✧              …♡             ただ …                マリンは、      佐藤がチャンと返事をしないと、           不安で、苦しくなる。 でも … °˖✧           🌠 🌠  ☆°˖✧  ✧˖°★  °˖✧ ✧˖°       ☆✧˖° °˖✧          ✧˖° この2人の関係は …           °˖✧ 『 カサカサッ … 』               『 ギシッ …』             °˖✧ 「 おまえは …   いい子だ … 」°˖✧         「 あっ …え?…」 『 ギシッ…』        … クリスマスなのに … 「 フ…」    … これって …            みんな?…            … そうなの?… °˖✧            「 ん?….」 🍬…             …♡ °˖✧         ✧˖° 佐藤がこんなでも … 初めての、2人のクリスマス … だから、  °˖✧             …🦅 °˖✧ マリンには、なにがなんだか …       解らない?…               °˖✧ 🍓🍓…        🍓…                🚙… けれど、これも … あの時の、 茉由と高井の行動に似ている … ✧˖°          ✧˖°               …🍓 ― °˖✧ 茉由は、 いちご狩りを終え、ビニールハウスから出 ると、ベンチに座り、パンプスに着いた土 を落として、ユックリ立ち上がろうとした、 でも … その、瞬間 … いつの間にか、 茉由の前に立ち塞がっていた高井は そのまま、茉由の背中と、ひざ裏に 腕を回して、     引き寄せながら抱き上げる。           「キャッ!」 高井は、表情を変えずに、そんな事も         サラッとしてしまう。 でも … この時、茉由は、 佐藤の事が、一瞬、頭の中に出てくる … この会社は、男優位の処がある。それは、 男たちが「男っぽい」ということ。     茉由の周りには、強い男が居る。 備品庫に閉じ込めた茉由を、抱きかかえた まま家まで、佐藤も茉由を歩かせなかった。 抱きあげられた茉由は、 高井が「上司だから」キョトンとしたが、 表情を変えない高井に安心し、 無言のまま、両腕を高井の首に回し、      高井の首筋に自分の額を寄せた。 ムスクの香りと「肌の温もり」が茉由には 感じられる。茉由のまなざしのすぐ先には、 高井の大きな喉仏が「男」をアピールして いる。 高井は、 茉由の額が、自分の首筋のあたるように、 ゆっくりと、ちょうど良い角度で顎をあげ た。でも、表情は変わらない。険しくもな く、穏やかそうでもなく、無表情で、    どんな気分なのかも分かりづらい。 いま、 額が高井の首筋にあたっているのだから、 茉由の顔は、高井の顎の下に隠れている。 だから、茉由の貌は、他の人からは             見えなくなる。     茉由は、高井だけのモノになる。 高井は、それに満足する。 見事な大きいキャベツたちが目を引く、 緑多い畑をバックに、高井は、茉由を、    車まで運び、助手席に座らせた。 茉由には、 外を歩かせなかった。                再び、         茉由の靴に「 土 」が、            つかないように。 ここは、小高い丘の斜面いっぱいに畑が広 がる、海まで見渡せる眺望もよい、そんな、 田園風景の中、ビジネススーツに身を包ん だ二人が、こんな、派手なことをしたら、             かなり目立つが、          今日は、あまり人が多くなく、              それに … この二人は、細身の長身で手足が長く、   スタイリッシュで、容姿が美しく … だから、実は、こんな事が、とても、 「 様になってしまう 」ので、 べつに… ここに居るよそ様に気兼ねし、 二人だけの世界を作らなくても、なんだか、 嫌味もなく、そのまま「絵になってしまう」 高井は、もうなにも茉由に話しかけない。 黙ったまま、車のエンジンをかけ、静かに ここから離れた。         ― 佐藤は、これも、 見張らせていた、 水球部の後輩から訊いて?    分かっているから … それとも?             関西に居た時 … 自分から離れようとした茉由を、備品庫に閉 じ込めて、気絶させ、その、気を失った茉由 を自宅まで送った時の …   ???         ???          なぜ …          佐藤は、こんなに、          荒れているのだろう …          高井の事、で、なのか、               茉由の事でか、          茉由は夫を亡くし、          もう、           独りになったのに … 亡くなった人は、   遺された者に … 佐藤は、茉由の夫の、       家での最後、 あの日の自分を、 自分の行いを恥じて悔い、       背負っていく … あの日、自分が、 あんなことをしなければ … ― ダイニングテーブルには、 佐藤と向かい合うように、 夫も腰かけてい、た。        …ドキドキ             …ドキドキ            …ドキドキ ㊩...           「 どう、             したの?... 」                     …これ?               なに?… 「 どうした茉由 ?  あっ、お母さん、茉由の椅子 ?  どうします?『 僕 』    先に、座っちゃったから …」 佐藤は、とぼけて、 茉由の居場所を 心配したように装う。     「 大丈夫よ、      茉由ちゃん? 寝室から、      椅子を持ってきたら? 」            … えぇ~!… 「 あっ!   では、私が ... 」             「えっ?」           … ちょ?…              ヤメテ … 夫は、茉由の方を視ずに、 寝室へ向かった。 茉由は、固まり、 動けないのに、 眼だけは、 キョロキョロとする、          … なんで           こんな、こと?             に、なるの … ドアを閉める 夫の背中を 確かめた茉由は、           「 翔太?              どうして?」 何度も、同じように繰り返している、茉由の 問いに、佐藤は、聞こえないフリをする様に、 なにも答えずに、ただ、微笑み返した。 「... ...」 でもそれは、 営業用の笑顔で、茉由には、 なにも、伝わってはこない。 ―                  ― ダイニングテーブルの上には、 子供たち、と、茉由の母、と、佐藤の、 明るい笑い声が添えられる。 キャッ!    キャッ!           ガヤガヤ…♫♬  ハハハハハッ…            フフフッ♪             「... ...」 茉由は、ドコヲミタラ、 良いのかも判らずに   …ドキドキ 動揺しているのに ?    …ドキドキ 「 佐藤さんのおかげで、  今晩は、ずいぶんと  賑やかな夕食になったなぁ!」 夫は「 主人 」らしく、 客人の佐藤に同調し、感謝を述べる、 が、子供たちが佐藤に懐いている        様子を魅せつけられ、 佐藤に向けられた眼差しは、         鋭くなる。 「 あぁ ... そうだ、な、  今日は、もうすぐ、  San Franciscoで行われる、  学会に出席するから、  スーツケースを     とりに来たんだが …  佐藤さんに、遭えて     良かったよ、うん …」 「 関西で『 君たち 』が  お世話、に、なった  お礼も言えたし … まぁ…  これからも、私が留守中に、  子供たちがなにか困ったら、  父親代わりに、甘えさせて   もらおうかな? ハハハハ …」 夫は、茉由に向かって、 嫌味のような、余裕を見せ、る。            「... ...」 けれど、 佐藤が、堂々と、 さっきから、 目の前で、何度も、何度も、 茉由のことを、 「 呼び捨て 」にするので、 夫は、いまだけは 茉由のことを「 君 」と云う。             「... ...」 「そうだ…『 君 』?  子供たちを連れて来るか?  今回は、そのまま、  U◎SFにもお邪魔するから、  あっちに、3か月ほど     居る事になるが …」       「 私は、        あの町はちょっと …」 茉由は、なにも躊躇わずに、         すぐに、返事をした。 「そうか?」         「 スミマセン …」 「まぁ… 良いさ、  身体を大事にしなさい。 『 君 』は、  無理をしなくて善い 」           「… はい 」 ― … わざわざ、そこに、   自分が居なかったら …           佐藤の内には、           残ったものが、ある。 それでも、       いまは、けっして、 弱くはなれないから、         もがいて、         強がる、しか、ない … 🌙… °˖✧.  ☆°˖✧  ★°✧˖° 🌠 °˖✧  ☆°.  °˖✧  .☆°  …✈ ★˖°✧ °˖✧  🕯🕯🕯  °˖✧˖  °˖✧ 🕯🕯🕯  ˖✧  ☆°˖✧  ˖✧  ★ 🕯🕯🕯            .✧♡˖° ―              🏢...           🚙----!           🚗🚕🚚🚓🚗🚑... ぁあ … そうだったな … ふたり 初めてのクリスマスは            俺が … あれで …       なら … 今年のクリスマスは … 🏢...  🚙!        🚗🚕🚚🚓🚗🚑... 🚗🚗🚌🚒🚕🚐🚛🚗…
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