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頭の良い悠真にしては珍しい間の抜けた一言に美和は思わず吹き出した。
「あったかも。でも、そもそも大丈夫だよ。釘宮くんは神様の力なんてかりなくても、全然余裕で合格圏内だもん」
「まぁ、そう願いたいけどなー。ただ何が起こるかわからないから、その時のための『神頼み』だったんだけどなー。代わりに合格祈願のお守りにお金でも使って、もうひと押しの神頼みでもしておくかな」
「あはは。そうだね」
ちょっと方向転換して社務所へと二人は足を向ける。
「俺の願い事は言っちゃったけど、篠本さんの願い事も言っちゃったようなもんだよね。二人で合格祈願に来ているんだから」
コートに手をつこんだままお守りを買う列に並ぶ悠馬の後ろに、美和も並ぶ。
彼の言葉にどう返事したものか思案すると、胸の鼓動が高鳴った。寒いはずなのに、頬は熱い。
「私の願い事は大丈夫だよ? ……きっと」
「え? なんで?」
「だって、私のした願い事って『大学に無事合格できますように』とはちょっと違うから」
「え? え? そうなの? 合格祈願の初詣に来たのに?」
「実はそうなのです」
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