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第一章『夢失く師の住み処探し』第八話 二択の感情2
──ん?何処だここは……?
見たことない天井だけど、知っている場所の雰囲気がする。見た感じ、病院ではないのが分かる。
「起きた?」
仰向けになったままの創希の視界に、長い黒髪の綺麗な女性がこちらを覗くように映っているのが分かる。
「うわっ!」
「そんなに驚かなくてもいいでしょう。私、一応この神社の巫女さんなんです」
いや、綺麗な女性に顔を覗かれたら、多くの年頃の男子は創希と同じように、声をあげて驚くだろう。特にこの体勢だと、変な妄想のし過ぎで、鼻血が出してしまう人が出てきても可笑しくない。年頃の男子という枠に入る創希も、悪魔で少しだけだが、年頃の妄想をして鼻血が出そうになってしまった。
そんな心臓に悪いことが、起きたばかりの身に起こり、創造は、しばらく落ち着かなかったが、心拍数が元に戻ってきたと思われる頃、彼女の方も頃合いを見てか、真面目な表情をして、創希に質問を投げ掛けた。
「倒れた時のこと覚えてる?」
そう聞かれて、創希は思い出しながら記憶を言葉にしていった。だが、思い出した記憶と一緒にその時の感情も口から漏れてしまい……、
「自分に失望した時に、頭が痛くなってそれで……」
しまったと創希は、思ったが、もう遅かった。自分に失望したなどと他人の前で話してしまった。もう、駄目だと思い、創希は言葉が声が、もうこれ以上、出ないと思った。
──自分が、黙っているせいで静かになった空間。
だが、そんな静寂を保とうとする空間に、一人のたったの一言が響き渡り、その空間は、一瞬にして消滅した。
「──〇〇」
「えっ……」
彼女のたった一言に、創希は全ての感情を持っていかれるような気がした。
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