第1章

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 学園長の一言を合図にドアが開き、派手目の衣装を身にまとった女性が入室してくる。ウェーブ掛かったしなやかな長い金髪が非常に目を惹く。 「失礼いたします」  マイカはその人物を見るなりサッと顔を反らした。 「あらっ、マイカさん! お久しぶりです」 「久しぶりね……」  マイカはギリギリ視線を合わせ引きつった笑顔で答える。 「どうぞ、お座りになってください」  学園長はエミリアに向かって着席を促す。 「はい。ありがとうございます」 「首席を競ったお二人が、揃ってユニバーサル・コントラクターをされているとは思いもしませんでした。しかし、学園の理念からすれば一番理に適った職業なのかもしれませんね。ああ、お茶をどうぞ」  学園長は運ばれてきた紅茶とミルフィーユをエミリアに勧めた。 「それでは、昔話をしていてもしょうがありませんから、依頼についてお話をさせていただきますね。エミリアさんには先日お話をさせていただいたのですが、マイカさんもご一緒にとのお話がありましたので今回お呼びさせていただきました」  学園長はマイカに向かって話した。  マイカは学園長、そしてエミリアに視線を泳がせ、首を捻った。巻き込まれた感はあったが依頼内容を聞くまでは何も言うことはできなかった。 「先ずは、これを見てください」  学園長はユニバーサル・インターフェース・モニターをマイカに手渡した。  画面には一通のメールが映し出されていた。内容はほんの数行で、惑星系外への修学旅行を中止せよ、という内容の非常に簡素なものだった。中止しない場合は生徒の安全は保証できない、とご丁寧に在り来たりな文句も並んでいる。一見すると、異星との交流を快く思わない過激な組織からの脅迫状にも見えた。しかし、マイカの目にはただの悪戯にしか映らなかった。 「どうでしょうか?」 「私の口からは何とも言えませんが……」  この手の依頼にはあまり無責任な事は言えなかった。結果的に問題が生じた場合、責任の一端を感じてしまうのがオチなのだ。 「ねえ、マイカさん。これは許せませんよね。私たち卒業生がどうにかしなければいけませんよね」 「えっと、あの……」  熱く語るエミリアに気圧されて何も言い返すことはできなかった。 「ご存知の通り、学園では系外での体験学習を目的とした惑星メドーシュールへの修学旅行を五年前より実施しています。実のところ、脅迫状も今回で六回目なのです」
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