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「毎年送られてきているのですか?」
マイカは慌てて聞き直した。
「はい」
「では、今までもセキュリティ・ガードを雇われていたのですか?」
「はい。専門の警備会社に頼んでおりました」
「在校中は一度もそのような話を聞いたことがありませんでしたが、脅迫状の通りに問題が起きたことはあるのですか?」
マイカは情報を集めるために質問を続ける。
「いいえ。実際にそのような事態が発生したことはありません」
「失礼ですが、今回はどうして私たちを?」
悪戯である可能性が限りなく百パーセントに近づく中、自分たちが選ばれた理由を考えていた。
「あの、私のお父様が相談を受け、ちょうどユニバーサル・コントラクターを起業したばかりの私に学園の手助けをするようにと話をいただいたのです。そこでマイカさんもご一緒にと私の方からお願いをさせていただいたのです」
エミリアがどこか不自然に口を挟んだ。
マイカはエミリアの様子を窺う。そもそも、ユニコーンをしていることをどこで知ったのか、他にも腑に落ちないことが多かった。
「全てを警備会社に頼む場合、割高になるような傾向だと聞きました。ですので、生徒への直接的な護衛は今まで通りに警備会社に頼むことにして、船の護衛など外側での護衛をあなた方に依頼したいのです」
「今回の件、今までの事を含めて考えると差し迫った危険があるとは思えません。経費を考えるのであれば、二チームも雇う必要はないと思います」
マイカは声のトーンを落として言い切った。ここに呼ばれるに至った経緯に疑問が残る限りは依頼を受けるという選択肢はなかった。
「そうですね。学園の中でも護衛そのものが必要ないという意見も出ています」
「あの……」
どうにか口を挟もうというエミリアだったがマイカによって阻まれていた。
「脅迫状に関係なく、その意見には賛成できません。太陽系ほどに治安のしっかりした惑星系は多くありません。万が一にも問題が発生した場合、学園の責任が問われます。その中で必要な安全の確保を怠っていたとなれば、それは学園存続にも関わってきます」
「その通りです。学園としては生徒の安全が第一ですので、そのような意見は当然却下ですね」
学園長はマイカに真剣な表情を向けながら話した。そして、打って変わった微笑みで更に話を続けていた。
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