第1章

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「ありがとうございます。これで安心して生徒たちを送り出せますわ」 「引き受けてくださって、本当によかったですわ」  エミリアはマイカの手を取り、安心しきった様子で話した。 「それで、こちらでしなければいけないことはありますか?」  学園長は早々に話を進めていく。 「今回のスケジュールと教師を含めた参加者全員のリストをお願いします。それと、旅行代理店なども含めた業者の情報もお願いします。後は警備会社と連絡を取れるように調整をお願いします」  マイカは手慣れた様子で答えていく。 「分かりました。今すぐデータを用意させます」  学園長はユニバーサル・インターフェース・モニターを操作しながらマイカに答えた。 「わ、私はどうすればよろしいのかしら?」  エミリアは恥ずかしげに尋ねる。 「私の方でミッション・プランを立てるので、そちらで使用するスペースシップの規模とできれば武装の一覧をドレスを含めて教えてください。ミッション・プラン作成後、一度ミーティングをしましょう」 「承知致しました。データは本日中に送付させていただきます。つきましては、今後の事もありますし、個人的なですね、連絡先を教えていただければ、その……幸いですが」  エミリアは両手にスマート・ターミナルを握り締め、恥ずかしげに微笑みながらマイカに所望した。 「あっ、そ、そうね。えーっと、これね……」  全ての動向をチェックするかのような学園長と母の手紙を前にしてはマイカも否定的な行動を取ることができなかった。マイカは渋々スマート・ターミナルを取り出すと互いの情報を転送し合った。 「それでは、データが揃うまでしばらくお待ちください」  学園長の言葉に、二人はうなずいた。  マイカは残りの紅茶を口にしながらエミリアを横目に見ていた。  エミリアはフォークとナイフを使ってミルフィーユを横倒しにする。そして、サクッとナイフを入れ綺麗に食べ進めていく。ケーキが美味しいのかそれとも良い事があったのか、笑みがこぼれている。  マイカにとっては天敵でしかなかった少女。試験など競えることがあれば必ず絡んできたことが思い出される。マイカは苦い思い出をよみがえらせながら目の前の残念な皿に見入った。 「マイカさん」 「ハイッ」  マイカは虚をつかれていた。 「学園のお役に立てるように頑張りましょうね。ああ、クイーンエミリアを早くお見せしたいですわ」
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