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ある日、二人が一緒に遊んでいると、いつもは遠くで眺めている子供達が集まってきました。
その子供達は男の子を指差して、口をそろえて言います。
化物の子供と一緒に遊ぶなんて、おまえも化物なんじゃないか、と。
化物の子供は男の子にもう一緒に遊ばないでと、泣きながら言いました。
そしてその日から、化物の子供は男の子の前に現れなくなってしまいました。
男の子は不思議に思いました。
だっておかしいですよね。化物の心を持った人はたくさんいるのに、その人達はとっても優しい心を持った子を化物と言うんですから。
皆と違うからでしょうか。同じではないからでしょうか。
それは悪い事なのでしょうか。
男の子は何日も探し回って、とうとう化物の子供を見つけ出しました。
君は化物なんかじゃないよ。だから一緒にいていいんだよ。
そう言ってつないだ男の子の手は、とても優しく温かでした。
温もりを感じていたのです。
遠い遠い昔に、何かの事故で暗く冷たい場所に化物の子供は閉じ込められていました。
ずっと一人きりで、何もなくて、真っ暗でした。
そんな所にいたら誰だって、とっても悲しくて、さみしくて、不安になってしまいますよね。
だから化物の子供は感覚を閉じていったのです。
心が痛くならないように。
ともあれ、化物の子供は化物ではありませんでした。
男の子と一緒に遊ぶその子供はしだいに、おいしさや痛さも分かるようになり、化物の子供とは呼ばれなくなっていきました。
変わりに今は、
この世界に生まれた時に、お父さんとお母さんに、その綺麗な髪と綺麗な瞳にちなんで名づけられた名前で呼ばれるようになりました。
「一緒に遊ぼう、カレン」
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