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ばけもの子供の物語
子供達の間で噂になっている化物の子供のお話をします。
化物の子供は、暖かさや寒さ、おいしさやまずさ、痛さや痛くないが分かりませんでした。
だから、思い出すのも苦労するような昔、子供達は一緒に遊んだ化物の子供をおかしいと思い、化物の子供と呼ぶようになったのです。
だっておかしいですよね。子供達はお菓子を食べておいしいと感じるのに、化物の子供は何も感じないのですから。
だけど、化物の子供から遠ざかる子供達とは違って、近づいていく子供がいたのです。
化物の子供と同じ年の男の子は、一緒に遊ぶようになりました。
体がだるくなるような暑さの日に太陽の日差しを避けようとしなくても、顔が真っ青になるくらいまずい食べ物を食べて顔色一つ変えなくても、遊んでいたボールで頭を怪我して平然と立っていても、男の子は化物の子供と遊ぶのが楽しかったので、いつも一緒にいました。
だって、たとえ感じなくても
木陰で汗の流れる体を休ませている時は、いつも気づかって一杯の水筒の水を差し出してくれます。作ってきた手作りお菓子を食べさせたときは、嬉しそうに笑ってくれます。つまづいて怪我をした時は、すぐにかけよってきて心配そうに手当てをしてくれてます。
化物の子供は、化物の子供である事が気にならないくらい、心の優しい子供だったのです。
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