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「ちょちょちょ、優希乃っち! なんで私が黒澤に勉強教えなきゃいけないのさ!」
「それはこっちのセリフだ! 椎谷に教わることなんてないっつーの!」
ガヤガヤと口を挟む椎谷と黒澤に、私は溜め息を吐くと、
「人に教えてこそ、本当の理解に繋がるの。これは椎谷のためでもあるんだから」
「……うぐっ」
椎谷は私の言い分に一理あると判断したのか、これ以上口を開くことはなく、大人しくなった。
「それじゃ、席替えでもして、そろそろ始めようか」
「は?」
今度は私が疑問符を上げる番だった。私にとっての無理難題を、笛吹は平然と言いのける。
「え、だって、このままの席じゃ勉強に支障が出るでしょ? だから、席替えした方が皆のためにいいかなと思ったんだけど」
「……っ、そうだけど――」
「確かに!」
私の言葉をかき消すように言葉を重ねて来たのは、三宅だった。
笛吹の意見に、私以外に反論を示す者はおらず、一度出した筆記用具を鞄に片付けてまで席替えをしようとさせている。
「はいはい、スノーさんもチェンジチェンジ」
戸惑う私を催促させるように、三宅が手をパンパンと叩く。私は納得もしていないまま、渋々と席を立った。
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