12月17日(日)

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 そして、三宅の指示がなされるままに座ることになった場所は、なんと真ん中らへんだった。私の列には窓際からナベちん、笛吹、私、三宅となり、反対側には黒澤、椎谷、田島、沖の順だ。意図としては、二人で勉強をし合う椎谷と黒澤、マイペース派の笛吹とナベちん、三宅、田島、沖の三人に私が適宜教えるというものだ。この席位置に、誰も文句を言う者はおらず、当たり前のように先ほどしまったばかりの筆記用具を取り出し始めた。  落ち着かない。いつも中心にいることを避け、端へ端へと生きてきた私にとって、この位置は拷問のようだった。  私は席替えの言い出しっぺである隣にいる笛吹を見た。私の心境を知ってか知らぬか、笛吹はいつも通りにへらへらと口角を上げている。 「じゃあ、スノーさん、早速勉強教えて!」 「私も私も!」 「よろしく」  乱雑に聞き寄る三人に、無秩序になりかねないことを敏感に感じ取った私は、 「ただ漠然と質問しないで。分からないことは、問題や解答、例題――とにかく実例を見せて」 「はーい」  教えてもらう側の三人は、特に反論することなく、各々分からない箇所の参考書や教科書のページを見せて来た。  そのページを見るや否や、私は解説を始めた。
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