12月17日(日)

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「だったらさ、今から駅前で遊ばね?」 「あ、いいね! パーッと遊んで気分転換しよっか!」 「私、映画行きたいかも!」 「いやいや、さすがに映画はないだろ……。それよりもさ」  椎谷と三宅と黒澤が盛り上がっているところに、隣のテーブルに座っていたグループも会話に混ざって来た。各々遊びに行きたい場所の候補を口々に上げ、更に会話の熱が高まっていく。  ドリンクバーから戻って来た田島と沖も、戻って来たと同時に抵抗なく会話に混ざり始めた。まるで最初からその場で話をしていたのかと疑ってしまうほど、違和感がない。それに加え、話の流れを乱すことなく、飲み物をそれぞれの前に置いていく。 「なら、カラオケは?」 「カラオケか。確かに、大声出してストレス発散したいっていうのはあるな」 「それ、すっごい分かる」 「カラオケなら最悪勉強も出来るしな……」 「それじゃ、カラオケで勉強二回戦に入りますか?」  椎谷がまとめてそう言うと、クラスメイト達のテンションが目に見えて上がった。 「まじ天才!」 「最高かよ!」 「いやいや、絶対勉強しないパターンじゃん!」  誰かの冷静なツッコミに、誰ともなく笑い声が溢れる。  いかにも高校生な会話の流れに、私は加わることが出来なかった。どこか冷めたような目で、彼らを見てしまっている。同じ空間にいるはずなのに、同じ時間を共有していないかのような感覚に陥る。
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