7人が本棚に入れています
本棚に追加
「ここ1週間くらい秋人が口をきいてくれないの」
秋人は紅葉の彼氏だ。
「秋人がこの前まで浮気しててね」
これは葉月も知っていた。
しかしその後、和解して仲は戻っていたはずだ。
「和解したところまではよかったんだけど、やっぱり私心配になって秋人によく連絡を取るようにしたの」
葉月は黙って聞いていた。
「だってそうじゃない! 浮気されて心配するのは当然でしょ! だから秋人に何をしてるかとか、誰といるのかちょくちょく聞いてたの」
紅葉の目には涙が浮かんでいた。
「そしたら急にウザいとか、連絡してくるなとか言ってきたの。あげく別れ話も浮かんでくるようになって。でも私は秋人が好きなの。だから別れたくないって話そうとしたら避けられちゃって。どうしたらいいのか」
紅葉は下を向いた。
「連絡だって、秋人が好きだから、大切だからしてたのに・・・・・・なのに・・・・・・なのに・・・・・・」
その目からは涙があふれていた。
机にはしずくが積み重なっていく。
「ちょっと席外すね」
葉月はそう言うと席を立った。
(ああ、葉月にも避けられちゃった)
紅葉は1人になった席で思っていた。
(私は1人か・・・・・・どうしてなんだろうね・・・・・・大切なものがどんどんなくなっていく・・・・・・もう、やだ)
紅葉はどんどん暗い世界に引きずり込まれていた。
「紅葉ちゃん、お待たせ」
そこに天使の声がした。
最初のコメントを投稿しよう!