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創建1000年になる、三都神社。
小さい神社ではあるが、昔から人々からそれはそれは愛されてきた。
昔から人間に愛されてきたその神社の神様こと、"ミト"様は、人間の願い事をーーー
「うんざりするのぉ〜。」
ミト様は、神社の境内でため息をつきながら、胡座をかいて人間の願い事をとりあえず聞く。というか、その境内から出れないのだから、聞かされるというのが正しい表現だ。
"神様、どうか今年中に彼氏ができますように。"
「男なんぞ、星の数ほどおるであろう?自分で適当に見繕え。」
"神様、家族全員健康にすごせますように"
「健康に生きたいなら、身体に良い食生活と運動すればいいであろう?」
"神様、今年こそは、大学受験合格出来ますように!お願いします!合格させて!!"
「お主は、それを毎年願いにくるの?今年で7度目じゃ。諦めるのも肝心じゃないかえ?」
"神様、どうか主人の病気を治してくださいませ!"
「それは、私ではなく、医者に行け。病気の治し方なんぞ知らんわ。」
"神様、子供を、子供の命をお助けください。私の命と引きかえに、どうかどうかお願いします!"
「子供か。不憫なことよの。100年事の願い叶え年なら、叶えてやれたのに。不憫じゃの、、、。」
若い母親が、ミトに願い事を言って帰った後、装束を着た男が境内にドカドカと入ってきた。
「みっとちゃ〜〜ん!」
その男は、当代の神主で越村かおる、50歳。身長は、170cmで中肉中背、顔は、彫りが深く濃い。ミトはあつくるしい顔に嫌気がさす。
歴代の神主は、それは真面目な者達だった。だが、この男は、未だかつて無いほどの不真面目神主だった。
奉納された酒を浴びるように飲み、ギャンブルにはまり、星の数ほどの女遊びをし、全てにおいてだらしない男だ。
なぜこんな、クズ男が神主になったか。
それは、霊感が強いから。ただそれだけだ。
ミトの姿も、見えている。
今までの神主はミトの姿を見た事がない。それ所か、神主になった者全員がちゃっかりお願い事をするので呆れ果てていた。
「今日も、可愛いね!ミトちゃん!」
「やかましいわ。神様の私をちゃん付けするとは!罰当たりな奴め!」
ミトは、思いっきり顔を歪める。
「でも、ミトちゃんって、元は人間だったんでしょ?」
ミトは、ギクッとする。今でもあの時の事は覚えている。
1000年前ーー
ミトの母に、この場所に神社を建設し、神様をお迎えすると聞いた。
ミトは、へぇ〜と特に興味は持っていなかった。
だが、ただ酒が飲めると聞いて酒好きなミトはその行事に参加した。
普段飲めないような、高価な酒ばかりがあるので、ミトは浴びるほど飲んだ。
そして、酔っ払って、その場に倒れ込むように眠ってしまった。
意識を取り戻すと、ミトは棺桶に入れられ、地中に"生き埋め"にされていた。
地上から地中にいるミトに、竹筒を通し、村長が言った。
「ミトよ!村一番の美貌を持ち、村の男どもを誑かすお前に、本当に困らされた。お前のせいで争いごとが耐えぬ。こうするのが村のためじゃ。せめて、迷惑をかけた村の人々の為に、人柱となりこの地の守り神になるんだ!」
なんだって!?ミトの周りの馬鹿な男共の争いのせいでこんな事に!?
ミトは、小柄で色白く、目鼻立ちが整った顔をしている村一番の美人だった。微笑むだけで男達は、ミトに恋してしまう。そのせいで、ミトを奪い合う争いが耐えなかった。中には嫁もいる男もいて、その男の嫁に因縁をつけられたこともあった。だが、ミトはそんな気はさらさら無いので、困り果てていた。
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