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100日目の朝
ミトとかおるは、境内で、深い深い口付けをした。
そして、お互い唇を離した時、かおるは真剣な表情でミトに言った。
「ミト、俺はずっとミトだけを愛す。俺が死んだら、一緒にミトとこの神社で神様やってやる。ずっとずっと何年も、何十年も、何百年も、何千年もずっとずっと一緒だよ。」
ミトは、涙を流す。
「約束だぞ?ずっと一緒だぞ?」
かおるは、笑顔で、ミトに頷き、また口付けをした。
すると、だんだんミトは透けていき、神様に戻った。
「かおるが死ぬまで、しばし1人で神様やるとしようかの。」
ミトは、かおるに笑った。
「ミトは、1000年も神様やってきたんだ。人間の数十年なんてあっという間だろ?」
「ああ、そうだな。」
それからミトは、かおるが死ぬまで一人で神様をやっている。
境内で胡座をかきながら、人々の願い事をうんざりしながら聞く。
"神様、どうか今年こそは大学受験に受かりますように"
「お主、今年で15度目だろ?諦めの悪いことよの」
"神様、俺を大金持ちにしてください!"
「金が欲しけりゃ存分に働け!」
"神様、腰痛を治して下さい!"
「整体にでも行け!」
"神様、僕を天才にしてください!"
「なら、しっかり勉強にはげむがよかろう?」
"神様、私の夢を叶えてください!アイドルになりたいです!神様、お願いします!"
「アイドルとはなんだ?よく分からん。」
"神様、お願いします"
今日も、かおるが神様になるのを待ち続けながらミトは皆の神様でいるのだった。
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