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「そんな、私はそんなつもりは無い!!好いた人もいなかった!!母さん、助けて!!」
「ミト、ごめんね。こうするしか、、、ミトが人柱になってくれたら、村長が身体の悪い父さんと他の兄弟達の面倒をみてくれると言ってくれてね。何不自由もなく暮らせると。ミト、、、ごめんね。」
ミトの父は、病を患い伏せっていた。そのため、生計を立てるため母は昼夜問わず働いた。ミトも、幼い兄弟の世話をしながら必死に働いていた。
人一倍苦労をしている母に言われると、ミトはーー。
「分かった。母さん、どうか家族皆幸せに暮らしてね。私は、このまま人柱となりこの地を、、、」
ミトはそれ以上は涙が溢れ言葉にならなかった。
程なくして、神社が建てられた。
ミトは、息を引き取った後からこの神社で神様として祀られた。
霊体となった訳だから、自由に外に出れるのかと思ったが、境内からは1歩も出れなかった。
ミトはその時の事を思いを馳せていた。
「ミトちゃんの思いにふける姿も、色っぽくて俺はすきだぜぇ〜!!」
かおるは豪快に笑う。
「この戯けが!」
ミトは、顬に青筋をたてた。
「怒った顔も、可愛いぞ?」
濃い顔で更に暑苦しい笑顔を振りまくかおる。
とうとう、この神社も終わったかとミトはうんざりする。
「そろそろ、私も解放して欲しいものよの。まともな願い事をする者もいない。しかも当代神主はアホなお前ときとる。私の事が見えるのには驚いたが、、、」
盛大なため息をついてしまう。
「ミトちゃんは、この神社の大切な神様なんだから!解放してなんて言わないで?それに、来月には、100年毎の願い叶え年でしょ?」
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