神々の憂鬱

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 下を向く疫病の神と雷の神の前に、ふわりと舞踊の神が舞い降りて口を開いた。 「私が新しい舞いを踊って差し上げましょう。神の踊りと称され、年に一度の祭りごととして奉るようになるでしょう」  ぐえっぐえっ、という低い笑い声が高天原に響き渡った。笑いの神だった。 「それはいい、ぐえっ。そこにおいらの力を加えることで人間どもを笑顔にして、やはり神を信仰することは楽しいことだと植え付けてやるのだ」  知恵の神はまたも首を横に振る。 「それも駄目だ。近頃の人間どもは楽しいことがあればすぐに飛びつくだろうが、その反面、すぐに忘れ去ってしまうのだ」
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