神々の憂鬱

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 口をつぐむ舞踊の神と笑いの神、その二神の足下からぬっと現れた影の神がぼんやりと口を開く。 「光を無くしちまえばいいんだ……」  知恵の神はハッとした。 「そうか、その手があったか。それなら日本神話にも謳われている内容でもあり、人間も神のありがたみをきっと思い出すことであろう」  雲の神がボソリと言う。 「大御神(おおみかみ)様をまた岩戸に隠してしまわれますのかい?」 「いや、そんなことをしてしまうのは大神にも大変失礼なことである。それに食料不足に陥った人間どもは、どうせ力に任せて戦争などを引き起こすのであろう。だから……そうだな、布団の神よ」  バサリ、と返事する布団の神に知恵の神が続けて言った。 「大神の頭から被さり、ゆっくりと二日ほど眠らせてあげておくれ。ここでの二日は人間どもの二年にあたる。人間どももそれくらいの間ならば十分持ちこたえることであろう」
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