神々の憂鬱

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 かくして日出ずる国から太陽が消えた。正確には消えたのではなく、布団の神と雲の神によって、大御神から漏れる光を遮ったのだ。 「やや、これはどういうことだ」  さすがの人間たちもこれには慌てた。昼の来ない暗黒世界。食物が育たなければ、日光浴もできなくなってしまったのだ。 「日本はどうなってしまうのだ。神にすがるしか、我々に残された道はないのか……」  人間たちの口からそんな言葉が漏れ始めた、その矢先であった。科学者、化学者たちがこぞって手を挙げたのだ。 「人工の太陽を開発しようではないか」 「よし、それならば我々は、人工の光でも育つように植物の品種改良をしよう」  それらは神々の予想を遥かに超えた速度で開発された。それだけでは飽き足らず、日本はその技術を流用して、砂漠でも育てることができる植物や夜でも人工の太陽光が照らすスポーツ施設など、次々と新技術を開発していった。  日本は今やその分野では、世界を牽引する第一人者となった。
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