神々の憂鬱

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「神頼みなんてただの世迷言だ」 「神の力などよりも、我々人間の技術力が勝ったのだ」  人間たちの感極まる声を聞いた知恵の神は大いに嘆いた。 「まさか、こんなことになるなんて……」  堪らずため息をついた。  八百万の神々も同じように、一斉にため息をついた。神々のため息は重なり合い、混ざり合い、日本列島に吹き荒ぶ嵐となって人間を一人残らず吹き飛ばし、そして飛んで行った人間たちを穴の神がばくりと飲み込んでしまった。  やがて睡眠から目覚めた大御神は大いに嘆き、八百万の神々を米粒に変えて日本列島にばら撒くと、そこから新たに人間が実ったのだった。 ◆◆◆ 完結 ◆◆◆
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