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デート
「先輩、どこ行きます?」
「そうだなー。ハンバーガーでも食べに行くか?」
「はい!僕チーズのやつにします!先輩は?」
「俺はトリプルのやつにしようかな」
「トリプルですか?流石先輩!僕そんなに食べられません」
「玖絽は少し細すぎだからもうちょっと食べた方がいいんだがな」
「先輩が食べさせてくれたら僕もっと食べられるかもー♡」
「またお前は…」
それが本心からくる言葉なら俺だって嬉しい。
だけど、それもどこか無理して見えるから。
こっそり溜め息を吐く。
「まぁ、ハンバーガーは食べられなかったら俺が手伝ってやるけど、三度のご飯はしっかり食えよ?」
「はーい!先輩だーい好き♡先輩とずーっと一緒にいられたらなぁ」
そう言った玖絽の顔は寂しそうで、それが本物の玖絽に見えた。
俺が知る本物の玖絽に。
「玖絽」
名前を呼びお前の手をぎゅっと握る。
お前は顔を真っ赤にさせて不安そうに俺の事を見つめる。
俺はここにいる。お前の傍に。
だからそんな不安な顔をするなよ。
本当に俺の事が好きだと言うのなら、俺だって覚悟を決めるのに――。
「転ばないように、手、繋いで行こう」
「はい……」
消え入りそうなお前の声。
俯いてしまって表情が見えない。
明るく突撃してくるお前と、こうやって俯くお前と―――。
俺はお前が無理していないのならどっちのお前でも好きだよ。
そう伝えたならお前は何て言うんだろうな?
お前のこの行動の意味を教えて?
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