11.Epilogue

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11.Epilogue

 忘れていたつもりもないのに、河原の包帯(指先)に血が滲んでいたことに気付いたのはもう少し後のことだった。  服もろくに着ないまま、慌てて手当てをし直した俺を見て、河原はくすりとおかしげに笑った。  俺は「余裕だな」と目を眇め、僅かに首を傾げた河原をそのまま肩へと担ぎ上げた。慌てる河原を横目に「その手じゃ洗えねぇだろ」と続け、次には否応なしに浴室へと連行して――。  ……その後のことは、覚えてはいるが語らない。
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