*7.引き金を引いたのは

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 舌裏を舐め上げ、上顎を擽り、嚥下しきれない唾液を攪拌する。擦れ合う濡れた感触に煽られ、息継ぎすら惜しいように、執拗に彼の体温を求め続ける。 「んっ……くれ、しっ……ん、ぅ……っ」  口端からこぼれた雫が、彼の首筋へと線を描く。河原が堪えかねたように目を瞑る。  目端の紅潮は色を増し、時折垣間見える瞳はひどく潤んでいた。けれども、それは単に息苦しさと――せいぜいアルコールによるものだ。  そう頭ではわかっているのに、容易に錯覚してしまいそうになる。  だって鼻に抜ける吐息はこんなにも甘い。甘く聞こえる。  共有する熱は着実に温度を上げて――そう感じられて、 (もう、無理だ)  ここまできて、やめるなんてできない。  今更もう、止まらない。 (河原……お前に触れたい)  口に出せない想いを心の中で呟きながら、気がつくと俺は、これ以上ないくらいに高揚していた。
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