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俺はかち合った視線を振り切って、次には腰へと目を遣った。その刹那、一気にスウェットと下着を下方へと引き下ろし――。
「……!」
河原は息を呑み、俺の肩を掴んでいた手で目元を覆った。
他方からも手を放せば、両手を交差してしっかりと顔を隠す。
腹部を隠そうとしないのは、それを俺が許さないと気付いているからだろうか。
「も、やめ……」
吐息と共に、声にならない声が落ちてくる。
やめろと言いつつ、やはり身体では強く拒絶しない。
それが何故だかわからないまま、わかろうとしないまま、俺は再び平板に言葉を重ねた。
「じゃあ、うんって言えよ」
「……そ、れはっ……」
「関わらないって言えよ」
「だ……、だって、大切な人なんだ……っ俺にとって、将人、さんは……!」
……大切な人。
将人……さん、って。河原はあえて言い換えた。
頭の中が真っ白になる。かえって余計逆上した。
これ以上無いほどの情動に衝き動かされるまま、俺はおもむろに河原の腰まで頭の位置をずらすと、無言でその先端へと唇を被せた。
「っ! やっ……ぁ、何……!」
いい加減想像はついていただろうに。
それでもなお信じたくなかったのか。
河原はとっさに俺の髪を掴んだ。
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