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「んぁっ、待……、やめ……っ」
河原の指が、もどかしそうに掴んだ毛先を引く。けれども、それも俺を制するには至らず、むしろその切羽詰まったように髪を掻き乱す仕草はますます俺を煽るだけだ。
くびれに沿って舌を這わせ、上顎で薄らと濡れた先端を擦る。同時に根元付近では、輪にした手指を緩やかに上下させた。
河原の腰が不規則に跳ねる。逃れようとしているのか、何度も身を捩るその様が、いっそう艶めかしく映って堪らない。
「――女にされてるとでも思えよ」
束の間頭をもたげると、濡れた口元を軽く親指で拭いながらそう告げた。
「そ、……んな……」
上目に投げた視線の先で、河原の顔が泣きそうに歪む。
俺はそれからまたすぐに目を逸らし、再び河原のそれを飲み込んでいく。今度はさっきよりも深く。
側面に舌を押し付けながら、頭を上下させる。雫がこぼれればその都度受け止め、唾液に交えてわざと水音を立てた。
「ぁ……、んっ……ぁあっ……」
気のせいじゃない。いつのまにか、河原の声が甘くなっていた。
堪えられなくなったらしい嬌声が、他に何の音もない部屋に響いている。
唇の際からあふれる液体で、すでに彼の下腹部も俺の手元もぐしょぐしょだった。それは更に下肢の合間を伝い落ち、きっと座面まで届いてしまっているだろう。
「……」
俺は僅かな逡巡の末、空いていた側の指先を、その震える内腿の間へと差し込んだ。
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