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俺は僅かに目を細めながら、急くように指を2本に増やし、ひくつく隘路をかき分けるようにして同じ場所押し上げる。
一方で喉奥へとくわえ込んだ河原の熱を、吸い上げるようにしながら頭を上下させ、そのまま彼を頂へと追い上げていく。
「や……っぁ、あぁ……!」
一拍の後、河原は背筋を弓なりに反らせた。かと思うと、口の中へと白濁が放たれる。
認めたくないように何度も頭を振りながら、そのくせ、俺の体温が惜しいみたいに、びくびくと下腹部を震わせて――。
「は……、ぁ……」
中に残る残滓すら吸い上げ、嚥下して、俺は静かに顔を上げた。
口許を拭いながら、河原の胎内からも指を抜き、無言で河原の服を軽く整える。
「……ばかだな」
うっすらと開かれた双眸が、虚ろに中空を見詰めていた。眦から遅れてまた涙がこぼれる。
俺は見たくないようにその目元にそっと片手を乗せて、
「そういう時は、嘘でもわかったって言っときゃいいのに……」
視界を塞いだまま、河原の唇にキスをした。
まるで風が撫でるみたいな、掠め取るようなキスを。
「……悪かった。…………でも、言ったことは取り消さねェから」
俺は立ち上がり、ぽつりと落とした。
そして泣いている彼を残したまま、部屋を出て行った。
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