3.近いようで……

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 時節は十一月半ば――。  風邪が流行るには少し早い気もするけれど、現にアリアではここ最近、次々に病欠者が出ていて、今日なんて初めから三人も欠勤だった。  おかげで俺は本日も休日返上。ちなみに三日前の休みも同様に消えたばかりだった。  基本早番の木崎も何度か遅番にまわされているし、逆に遅専の河原が早番にまわされたりもしているくらいだから、俺一人が文句を言っている場合でもないのだが……さすがに二週間近い連勤となると、俺だって休みが恋しくなる。  店長(冴子さん)からは、人が揃えばすぐにでも休ませてあげると言われてはいるものの、それがいつになるかはわからない。  俺のシフトが特に流動的なのは、もともと俺がそれを承諾しているからだ。決まっているのは基本遅番と言うことだけで、曜日定休が基本の月六日の休みも店側のいいようにしてもらっている。  今回のように人が足りなければ真っ先にシフト変更の打診がされるのも契約の範囲内だし、状況次第で急な残業に応じたりするのも一応それに含まれている。その分相応の手当をつけてもらっているのだ。  ……とはいえ、今回のような状態がこうも続くと……そろそろ契約を見直してもらおうかなんて考えも頭を過ぎる。 「お前は大丈夫なんだろうな」 「……それがさぁ、なんかちょっと頭痛い気がするんだよねー」  溜息混じりに訊ねると、木崎は意味ありげに沈黙した後、どこか芝居染みた口調で言った。今日は俺も河原も、そして木崎もそろって遅番だった。 「それは単なる二日酔いだろ」 「ひっど! 俺、そんな飲み方しないよっ」 (だからどの口が……)  心から心外な! とばかりに口を尖らされ、俺は思わず半眼になった。
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