3.近いようで……

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 河原の気持ちはありがたかった。だけど、それではだめなのだ。  単に彼がホールに出られないからだけじゃない。それだと――俺と河原の休みを入れ替えたのでは、結局時間が合わないからだ。  確かに休みはすぐにでも欲しい。けれども、俺がいま、何より欲しいと思っているのは、休みは休みでも彼と共に過ごせる休みなのだ。  だってもう三ヶ月が経とうとしている。最後に河原と二人きりで飲んだ日から――一度も休みが被らないまま、そしてこれからも当面その予定がないなんて……。  どちらかの部屋で、時間を気にせず飲むだけ飲んで、翌日だらだらと他愛もない一日を過ごす。あの時間が恋しくてたまらない。  最悪、いつかのように俺が河原を叩き起こせば……とも思うけれど、そこまでして彼との時間を持ちたいと言えるだけの口実もない。  やはり基本的には翌日がそろって休みの日にしか誘えない……今までだってずっとそうだったから。 「なかなか一緒に飲めないなぁ」  なのに河原は、そのタイミングでそんなことを言い出した。  ぎくりと肩が揺れそうになるほど驚いた俺は、それでも慌てて口を開こうとしたけれど、 「でも、ここのとこ皆疲れてるし、下手なことして、店に迷惑がかかってもあれだよな……」  まるでそれを遮るみたいに、先に結論を出されてしまう。  俺は言いかけた言葉を飲み込んで、再び口を閉ざすしかなかった。  着替えを終えたのち、ジャケットを羽織り、自身のロッカーをパタンと閉める。やり場のない思いが反映してしまったのか、心なしか大きな音が響いたが、河原はまるで気付いていないようだった。
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