初恋

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           今日はハルと祭りデートのはずが楓と井川まで一緒に行くことになった。 そうなった理由は楓の初恋なんだが、オレはこの展開がものすごく面白くない。 待ち合わせの場所へ早めに着いたので、立っているだけなのに 女の子達が周りに集まってくる。 「1人ですか?一緒にお祭り行きましょう」 「お名前なんて言うんですか?」 「すごくカッコいいですね」 口々に勝手に話しかけてくる。 自分が周りからどう見られていているのかは分かってるつもりだ。 だから相手が望むように振る舞うし、それに逆らうより時には楽だ。 それがたまに窮屈に感じることもあって。 そんなオレが自然体でいられるのが、楓の側だけだ。 今なんてまさに、少し放っておいて欲しいけれど、女の子達は離れてくれない。 ため息を1つついて周りを見渡すけど、井川はまだ来ない。 もちろん楓達も。 今日は、ハルに別れようって伝えるつもりだ。 やっぱりこのままじゃ、ハルに悪い。 そうしていると井川が現れた。 こっちが困った顔で右手を上げれば、爽やかな笑顔でこっちへ駆け寄ってくる。 男のオレから見ても井川は一緒にいて気持ちの良い奴だし、楓ともお似合いだと思う。 だけど。そんな事を思うだけで心が乱れる。 本当、子供(がき)なんだろうな。大人の男はきっとこんな事思ったりしないんだろうな。 「桜井、悪いな。ちょっと遅かった?」 周りの女の子にごめんね。と謝りながらオレの隣に来てくれる井川。 「いや、全然だよ。オレが早く着きすぎた。」 しばらくすると、ハルと楓の姿が遠くに見えた。
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