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長い髪を弄んでいる華奢な手を掬い取って手の甲に優しく口付ければ、驚いてこちらを見てくれる楓。
「楓、今はこれで我慢するから安心して」
そう言って微笑むと、真っ赤な顔に潤んだ瞳。
正直本能を刺激する密着具合は避けたい状況で。
今だって場所も構わず楓を自分のものにしてしまいたい情動を抑えるのに必死で。
飲み頃を逃した紅茶を慌てて飲み干し
「そろそろ帰るよ。明日の飛行機の昼の便を取っておいたから」
抗議の声を封じるように最後まで言い切り
「大丈夫だから、一緒に帰ろう」
そう言って穏やかに笑って……
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