幸せのおすそ分け

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高くて青い秋の空。 見上げてみると、飛行機がうっすらと雲の線を描く。 午後の優しい日差しが 色づいた木々の葉の隙間をくぐり抜け木漏れ日となり頭上へ降り注ぐ。 穏やかな秋のひと時。 周りは煌びやかな衣装を身に纏った人達が思い思いに談笑していて それを横目に先程バーで受け取ったウェルカムドリンクのシャンパンを一口飲む。 すっきりした甘みが美味しくて、あっという間にグラスは空になってしまう。 地元の街一番の高級ホテルのガーデンで、披露宴開始までの一時を過ごす。 今日は、中学校時代の友人の結婚式。 あの時代はみんな家族みたいな距離で過ごしてた。 懐かしいな。 私の親友二人は県外在住で一人は仕事で海外のため参加できず もう一人は都合が付かず二次会から参加らしい。 久しぶりに会いたかったな。 「もう私達も今年で27歳。結婚とか考える時期なんだよね。」 一人言を呟いてみる。 「そうだよ。って事は(かえで)もそろそろ結婚か?あの男と。」 後ろから悪友の声が聞こえてきて、思わず振り向く。 「うわー。桜井(さくらい)だ」 今は触れられたくない元カレの事。 今一番会いたくない奴がそこにいる。 相変わらず麗しく、爽やかな笑顔で私の側へやってくる。 長身で黙ってれいば眉目秀麗。 仕立ての良いスーツを品良く着こなし、優雅に歩く姿は女性なら誰でも見惚れるだろう。 そう、黙っていれば、だ。 「お前、相変わらずだな。このオレにそんな視線よこすなんて」 苦笑気味に顔を歪ませながら楽しそうな声を出してくる。
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