初恋

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夏祭りから一週間後、終業式を無事迎え、明日から夏休み。 井川君とは良い友達になれた。……はず。 「あっ、岡山さーん。」 ほら、こうやってグラウンド近くの渡り廊下を歩いていると 青空顔負けの爽やかな声と笑顔で手を振ってくれる。 もう、胸が苦しいくらい高鳴って。 やっと笑顔を作って手を振り返して。 「井川くん、頑張って。」 何故か何も言えない私に変わって、隣に偶然居合わせた桜井が気色悪い裏声で叫ぶ。 そうすると、井川君がお腹を抱えて笑ってくれて。 私は益々赤面する。 と、ここまではいつも通りだったのだけれど。 井川君がこちらに向かって走って来てくれて。 「ねぇ、夏休みって忙しい?」 その上わざわざ予定の確認をしてくれて。 「ううん。全然。」 って思わず瞳を輝かせて首を振る。 首、イタ……。 「7月末に練習試合があるから良かったら応援にきて。」 もうその言葉が嬉しくて足元がフワフワして来た時に 「桜井も一緒に。」 井川君から続けて言葉が聞こえてきて。 思わず、隣の桜井を見上げてみる。 もちろん断って……。瞳で会話しようと試みるけれど 「ああ、もちろんオレも行くよ」 私に向かって満面の笑みをたたえながら井川君に向けて返事をする。 「じゃあ、練習に戻らなきゃ。練習試合は次の土曜日。総合運動公園のグラウンドで9時から開始だから。応援よろしく。」 爽やか過ぎる笑顔でグラウンドへ駆けていく井川君の背中を見つめながら 何で?ヤツまで誘うの。 と1人泣きそうになっていると。 「ま、これは脈なしかもな」 桜井が地雷を踏む。
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