青空の似合う人

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「い、行くよ」 少し声がうわずってしまって、ますます赤面してしまう。 「本当は、ハルと文乃を誘う予定だったんだけど……」 少しだけ、落ち込みつつ 「大丈夫、わたし1人で行って……」 その言葉に重ねるように 「オレも行くよ」 真剣な眼差しで見つめられながらそう言われる。 何だか落ち着かないから、急にそうなるのは、正直辞めてほしいのに 何故だかいつも何も言えなくなってしまう。 「だって、井川に誘われたし」 ウィンクしながらおどける桜井。 ……そうだったと、心の中でガックリと項垂れて。 「てか、ハルにちゃんと了解とってるの?私と2人で出かけるって」 一瞬、桜井の顔が引き攣ったような気がしたけれど 「今更楓と出かけた所で、何とも思われないだろ」 なら、私がハルに連絡を……と言いかけて、カナダにいる事を思い出す 「土曜日朝8時に迎えに行くからな」 こちらの都合はお構いなしか、と心の中で悪態をつきながら しぶしぶ 「はいはい」 と返事しておく。 「で、その格好。」 指さしながら、なぜかいきなり説教モードの桜井が 「もう少し露出抑えろよ」 分かってるけど、 何だか素直に言うことを聞きたくないと 「別に、桜井だから大丈夫」 思い切り笑顔でそう答えれば、なぜか盛大にため息をつかれる。 「それに暑いし」 小さな声で付け加え しばらく気まずい沈黙が続いたと思ったらおもむろに桜井から肩に手をかけられて 座っているソファへ押し倒され、組み敷かれて。 咄嗟のことに声も出ないのをいい事に
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