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危なかった。
楓の露出が多すぎて、危うくそのまま……。
アイツは無意識で誘惑する天才なのか。
夏祭りで気づいた恋心は、幼い頃感じた純粋な『好き』とは何かが違う。
もっと、狂おしいような、独占欲。
焼けるような、心と、どす黒い卑怯な考え。
目の前で繰り広げられる、楓と健人さんの何気ないやりとりさえ
この胸を焦がす。
もっと、俺だけを見てほしい。無理やり微笑みながら握りしめた拳が痛い。
決して綺麗な感情ではない。
もがいて、やり場のない熱を持て余している。
楓は井川が好きで、俺の事は何とも思ってないのが良くわかる。
悔しいけれど今は
楓の恋を応援し続ける事でしか、隣にいることが許されない
「今日は、桜井の大好きなポテサラも作るね」
そう言って笑ってくれる楓。
こうやって笑ってくれるのなら、俺は……溢れそうな気持ちに蓋をして
何だってやってみせる。
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