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いよいよ土曜日。
何度も鳴るインターフォンに、渋々起き出して何とか
「はぁーい」
気の抜けた返事を返せば
「おい、いつまで待たせる」
若干般若の桜井がモニター越しに睨んでる。
今日が楽しみすぎて
昨夜から、寝たのか寝てないのか分からないまま朝を迎えての今。
絶賛寝不足……
井川くんにこんな不細工な顔見せられないけれど
いつまでも玄関先で桜井を待たせる訳にもいかず
パジャマのまま出迎え
「ねぇ、桜井。お迎えは嬉しいんだけどまだ七時半……」
寝ぼけたままでそう抗議の声を上げれば、思い切りデコピンされる。
「楓は、絶対寝坊するって分かってたから、早めに来てやったのに」
まるでお母さんのような世話焼きなヤツに
若干可愛げを感じてしまい素直に
「ごめんね、ありがとう」
と笑って言ってみれば、何故か顔を背けてため息をつかれる。
そんなに呆れなくても、と若干剥れながらもリビングへどうぞと勧めてみる。
「さっさと着替えてこい。」
ピシャりと厳しい口調で言われては素直に従うしかない。
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