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「オレが子供過ぎてフラれたって所かな。」
笑いながら、ペンキをこっちに飛ばしてくる桜井はもういつもの悪ガキだ。
「あっそ。てか、飛ばさないでよ。顔に付くし。」
私も負けずにやり返す。
そんなこんなで作業してたら、実行委員長に怒られてしまった。
そっか。フラれたって事は、まだ傷が深いのかな。
今はソッとしておこう。と1人心の中にさっきの言葉をそっとしまい反省する。
私に出来る事って何なんだろう。
いくら親友でも何もできない事があるって今回は思い知った。
1人で考え込んでる私を見て怒られて凹んでると勘違いした桜井が
「大丈夫、楓はとっくにサボり魔って認定されてるから。今さらそんな落ち込むなよ」
的外れな事を言ってのける。
大丈夫、アンタこそそんな嫌味言えるんなら思ってたより平気なんだね。
と心の中で返して、顔に着いたペンキをさっさと拭い続きに取り掛かる。
今年の文化祭のテーマは輝き
命、夢、青春そして友情の輝きだそうだ。
クラス代表の実行委員に半ば強制的に推薦され、桜井も同じく。そうして2人で看板を作成しているのだ。
作成といっても美術部が下書きしたものに指定のペンキを塗るだけ。
これが地味な作業だけど中々大変で。
綺麗にムラなく塗ろうと思うと気が抜けない。
他の実行委員は備品の手配やしおり、チラシづくり、募金の集計、各部との連携などとても忙しそうだ。
茶道部の準備に行きたいけれど、こちらの手が離せず、さっき部長にお詫びしてきた。
部長はとても良い人で、心良く送り出してくれた。
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