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「だれか、廃材を焼却炉に持っていって。」
先程から一際忙しく働いている委員長が背中越しに声をあげる。
「はい。岡山と桜井が行きます。」
と桜井に巻き込まれる。
ヤツがじっと私を見るのでため息をついて視線で、分かったわよ。と答える。
「ペンキが足りないので、今日はここまでで看板の製作を終わります。委員長、追加発注をお願いします。これがリストです。」
と桜井がいつの間にか作ったリストを手渡す。
遊んでるようで要領良く仕事するんだよね。そこは本当に尊敬してしまう。
「分かったありがとう。じゃ、廃材よろしく。岡山さん、重いけど大丈夫?良かったら他の男子に頼むけど。」
と男前な委員長の言葉に思わず笑顔になり、うなずきそうになったけれど
「オレがこっちもつから、楓はコレ」
と軽そうなものだけ渡される。
「さすが桜井君。じゃ、後はよろしくね。」
感心した顔をして委員長が去っていく。
「ったく、楓はバカ力だから大丈夫だっつの。」
なんて小声で悪態をつきながらも重い物を持ってくれる桜井。
なんだかんだいい所もあるよね。でも素直にお礼なんて言ってあげないから。
「はいはい、どうせバカ力ですよー。」
と思い切り舌を出すと
「ブハッ、不細工」
って盛大に笑われた。
久しぶりに桜井が笑ってる。表の王子様スマイルじゃなくていつもの桜井の笑顔。
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