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初恋
私こと岡山楓の初恋は、中学2年生の夏だった。
目の醒めるようなブルー。
空の青、海の碧、そして夜空の蒼。
初恋に色彩をつけるとしたらまさにそれらだ。
湿気が体に纏わりつき、髪型もいまいち決まらない梅雨が明けて。
茹だるような暑さが体力を奪い、太陽の強い日差しが肌を焼くそんな夏休みの少し前。
それまで気づけなかったこの淡い気持ちに敢えて名をつけるなら
「恋」
だと気付いたのがその日だった。
彼の名前は井川くん。
背が高くて優しくて笑うととても可愛い。
いつもグラウンドで白球を汗だくになって追いかけている。野球部の彼。
彼に似合うのが晴れ渡る青い空。
爽やかで、どこまでも綺麗な。
年末で忙しい中都会からこの田舎町へ越してきた。
転入してきて間もなく爽やかで気さくな人柄であっという間にクラスに溶けこんだ。
彼を視線だけで追いかけるようになったのは2年生へ進級してすぐの事。
綿菓子みたいな恋。
ふわふわしてて甘くて、一口口にすればあっという間に溶けてなくなってしまうほど儚い。
そんな。
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