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『犯人逮捕と小説書くのどっちが大事なのさ!』 「なに、その“私と仕事どっちが大事なの”的なヤツ。小説書く方が大事に決まってんじゃん!今私に唯一出来る事なんだから!!」 『ああ、分かった分かった。ノートとボールペン買ってってあげるからそれで我慢しなさい』 「あぁん!?人のパソコン勝手に持っていこうとしてる分際でなんだその言い方。絶対貸してやんない!」 『貸すんじゃないよ!押収!君に拒否権はない。以上、電話切るよ』 「え…ちょっ、ま……」 プツリと電話が切られ、彩羽は大きなため息を吐いた。大事なパソコンが押収されてしまう。 「あ」 何かを思いついた彩羽はすぐに部屋に戻ってノートパソコンを起動させた。そしてノートパソコンに残しておいた必要なデータをUSBにコピーする。 「どうせ鑑識の奴ら、私の大事なデータも復元させて読み漁るんだろ。やましいことはないがデータを破損されちゃたまらんからな」 万が一、ノートパソコンに何かあった時の保険だ。別にデータを削除したわけじゃない。USBにコピーを保存しただけだ。怒られることはないだろう。 作業が終わるとノートパソコンを閉じ、ベッドの上で目を瞑る。 ‟別にいいんだけどさ、私の小説なんて金にもならない趣味の領域だし” 言い訳がましく心の中でぼやいてみる。夢はしょせん夢で終わる。その方がいいのだ。
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