黄昏にチャイムを鳴らして

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私はクラスメイトが、ゾロゾロと教室に戻ってくることを期待した。 (「今日は〇〇があったんだよ。」 「ああ疲れた。」 「だけど、もうおしまい。さあ、みんな帰ろう」 「今日のチャイムは、続けて鳴ってとっても変だよね。」) そんな会話を、誰かとしたかった。 けれど、みんなもう帰ったらしい。荷物を取りに戻ってくる生徒はいないし、自分の以外は、机に掛かっている鞄はない。 チャイムはついに、4回目がなった。 (ひょっとして、私に向けて鳴らしているの?早く帰れってこと? まさかね。) 私は立ち上がって机に掛けてある鞄を掴み、家に帰ることにする。 チャイムは繰り返し繰り返し、まだ、なっている。 一体どうなっているの?どうして、誰も音を止めにいかないの? きっと、チャイムは故障している。あるいは、誰かがチャイムを鳴らすボタンの上に物を置きっぱなしにしている。 下駄箱に向かう間も、やはり音は鳴り止まなかった。 帰る前に、だれかにこの話をしたい。 私は、踵を返して人の居そうなところに寄ることにした。誰かが必ずいるとしたら、職員室かな?私は階段を登って職員室に向かう。 しかし、誰にも会わなかった。 放送係は生徒にとって花形のお仕事。これって、どこの学校でもそうかしら?少なくともウチの学校では、私にとってかなり敷居が高い。 放送室は職員室の廊下を曲がってすぐの場所。いつもはドアの前を通り過ぎるだけなんだけど、今日ドアの前に立ち止まるくらいはいいよね? 私は、放送室の様子を見に行くことにした。
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